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Month: 12月 2017

2018年はディープラーニングの光と影が明確になる年

テック業界の2017年は、振り返るとディープラーニング(AI)、仮想通貨(ICO)、宇宙、量子コンピューターあたりが大賑わいの年だったんじゃないでしょうか。

2018年は、表題の通り、ディープラーニング(以下、DL)の光と影が明確になる年だと、個人的に予想してます。最近、会社のブログでも同様の記事を投稿したんやけど、業界の専門誌はもちろん、日経新聞などの一般向けメディアでも既にDLの「影」の部分へのフォーカスが始まってます。

仮想通貨、宇宙、量子コンピューターに関しては、人間の欲望と、分からないものに対する憧れがある限り、まだまだ伸びると思いますが、残念ながらDLについては、いよいよハイプの限界に達したというか、ようやくDLが万能ではないということに、企業や経営者が気づき出しました。

そもそも、DLはデータ解析・予測の手法の1つに過ぎず、それ自体がフォーカスされることに前から違和感があったんやけど、今年は「○○社が、XXの用途でディープラーニング(AI)を採用」と、DLを採用したことだけでニュースになってしまうような1年やった気がします。

よくよく考えると、なんでもかんでもウェブ化するだけでメディアに取り上げられていたWeb1.0の時と同じ臭いが、いまのDL周辺にはするわけです。「○○社、ドッグフードをインターネット経由で販売する画期的なビジネスを立ち上げ」みたいな記事の見出し、昔ありましたなぁ。懐かしい。

DLの最大の課題は、なぜそのような結果になるのか、DLを設計した本人ですら説明できないところです。つまり、DLが出した結果が、人間にとって解釈不可能であることが問題の原因です。

現在は、この課題を意図的に隠している、もしくは顧客に説明しないベンダーがDLを企業に提案してしまっているため、最終的にビジネスの現場にDLが定着しないケースが頻発しています。

このようなDLの導入失敗事例は、2018年、もっとたくさん出てくると思います。一方で、それらの失敗事例がメディアで広まるにつれて、企業側にも「本当にこの課題解決にはDLが最適なのか?」を自問自答するような流れが生まれてくると考えてます。

DLという技術だけ、予測モデルの精度だけをウリにしているベンチャーは、これから凄い勢いで淘汰されていくはず。企業の経営者の観点からすれば、自社のデータを使ってコストダウンや売上アップを達成できれば、その手法はなんでもよいわけです。

むしろ、企業が必要としているのは、目の前の課題を解決するための最適な手法を提案してくれて、ビジネスの現場に導入した後、成果がでるところまでをナビゲートしてくれるパートナーやと思うんですね。

これから伸びるAIベンチャーは、企業が持ち込んできた課題に対して、「それをAIで解決することが、本当に御社のビジネスにとってプライオリティが高いことですか?」と、半ばダメ出しに近い意見を出せるところではないでしょうか。

ちなみに、これをAIベンチャーの立場で言うのは、なかなか簡単なことではないです。目の前の案件を失注することになりますんで。

AIによって業務の効率化を希望する企業に対して、その業務を自社でやる必要がありますか、アウトソースでもよくないですか、と提案してもいいわけです。いくら企業が望む課題をAIで解決したところで、ビジネス上でのインパクトがなければ、遅かれ早かれ、導入したものは使われなくなります。

いまは、データサイエンティストと呼ばれる職種の給料がえらい金額になってますが、これは世の中が「手法」を作れる人に対して、高い価値を見出してしまっている結果やと思います。ただし、手法しか顧客に提案できない人は、要するに仕様書通りにコードを書くことしかできないプログラマと同じなので、これから市場価値は急速に下がると思います。

本当にこれから価値が上がる人材というのは、データを読み解く力があるビジネスマンであることは間違いないです。企業がもつデータをばっと見渡して、ビジネス上で最もインパクトのある課題を抽出し、データでもってその課題を解決する。しかも、導入したものを定着させるには、導入される側の部署なり担当者に納得して使ってもらわないといけない。これって、もう人間力の世界です。

実は、データサイエンティストって、人間力という意味では、完全に反対側の世界にいる人が多いです。分かりやすくいいましょう。パソコンの前にばっかり座っている人では、これからのAIビジネス、もしくはデータサイエンスビジネスをドライブすることは、できません。

課題を見つけ、解決策を定着させるには、顧客に出向いて徹底的にヒアリングして、現場を理解する以外に方法はないです。なので、AIやデータサイエンスが差し迫ってくる未来が不安でしょうがないオジサン世代、安心してください。逆に、必要なのは、あなたのようなオジサン世代のアナログな「人間力」ですから。

Image by Marco Verch from Flickr

アメリカのスタートアップが日本の寿司業界でイノベーションを起こす

This Week in Startups episode 783から。幹細胞を培養して本物の魚の肉を作ろうとしているスタートアップFinless Foods、共同創業者CEOのMike Seldenのインタビュー。

Finless Foodsというスタートアップ、食糧問題に対するアプローチがユニークで、興味深いです。一方で、無類の寿司好き日本人としては、こういうスタートアップの存在はなかなか受け入れがたいというか、それでええのか、という心境になってしまう。

本来、こういうイノベーションはアメリカではなくて、海に囲まれて魚と近い生活を長年やってきた日本で起きるべきやと感じてます。ちょっと見方を変えれば、アメリカのスタートアップが日本の寿司業界でイノベーションを起こそうとしているところに、いま我々は直面してるんやないかと思います。

別に日本vs.世界みたいな話がしたいわけじゃなくて。日本の政府と日本のスタートアップが、やっぱりちょっとイケてない。

国の税金使って数十億円の助成金を投じたり、今まで人がやってた作業をITやロボットを使って部分的に自動化したりすることで、漁業に携わる人たちを「救済」するのは、本当の意味でのイノベーションとは言わへんのではないでしょうか。

自分はいま京都に住んでいて、ご存知の通り、京都大学にはノーベル賞をとったiPSを始めとする幹細胞研究者が数多く在籍しています。

こういうスタートアップが、ここ京都で産まれないのはちょっと不思議です。誰かを説得してやってもらうべきか、それとも近い領域で活動しているスタートアップにエンジェル投資して方向転換してもらうか、それとも自分自身でこれをやるべきか。

やるべきことはたくさんありつつも、残念ながら自分には1つの人生しかないのが悩みどころ。ほんまに人生は短いです。

[原文へ]

a16z Podcast: AI, from ‘Toy’ Problems to Production

この”end of theory(セオリーなんか、いらんよ)”アプローチ、けっこう好きです。一部の企業にとっては、正しい結果がどうであるべきかという「セオリー」は今後不要になると思います。

言い換えれば、将来、AIを導入する時は常に教師なし学習で初めて、AIによって特徴をあぶり出させて、アルゴリズムが教えてくれ課題の中から解決すべきものを決める、という順番。

さらに、TensorFlowのようなテクノロジーが誰でも使えるようになった昨今、AIをどのように実装するか、どういった解析手法を使うかは、もはや重要でない。ポッドキャストでも言ってるけど、TensorFlowのような出来合いのテクノロジーを使うことで、わずか数日で2~3人のデータサイエンティストが本物のAIビジネスを立ち上げることだって今はできる。

それよりも重要なのは、ROI(投資利益率)という観点から、どのビジネス課題について取り組むべきかを決めるということ。どんなに最新の手法を使おうとも、解決しようとしてる課題が企業にとってビジネス的にあまりインパクトの無いものであれば、結果的にそのプロジェクトは「失敗」という扱いを受ける。要するに、どうでも良い課題をがんばって解決しようとしている状態。

なので、自分の結論としては、AI技術がコモディティ化するにつれて、技術にしか強みがないスタートアップは市場から撤退することになるはず。逆に、顧客に対して、どの課題を解決すべきかを正しく伝え、かつROIに貢献できるスタートアップは、間違いなく残る。そして、往々にしてそれは顧客がAIでやりたいことを否定することにもなる。

それをやるために必要な人材は、データサイエンティストでもなければ、ソフトウェア開発者でもない。必要なのは、教師なし学習を使いこなし、顧客を正しい方向に導ける、全く新しいタイプのビジネスマンやと思う。

あと、AI技術そのものではなく、ある分野についての深い知識が差別化ポイントだという点にも同意。つまり、医用画像のような特定領域にとことん強いスターとアップだけが生き残る。これは、教師なし学習だけでなく、教師あり学習にも当てはまると思う。

なぜあなたの給料は上がらないのか:ベンチャー編

そろそろ年末が近づいて、来年仕事どうしようかな、転職しようかなと考え始めてる人、多いんじゃないでしょうか。Facebookでも「○○を退職して、○○に転職しました!」みたいな投稿を最近よく見かけます。

自分がベンチャー界隈で生きているせいかどうかは知らんけど、今年のトレンドは、長年勤め上げた会社からベンチャーに飛び込む人が、なんとなく多い印象です。ええことです。

ベンチャー経営者という職業柄、年中企業に営業で訪問して、色々な肩書・年齢の方にお会いさせてもらってますが、中には、けっこう尖った人もいます。自分は営業先・取引先の人であっても、「あぁ、この人良さそう、うちに来てくれへんかな」という目で相手を見てます。たぶん、他のベンチャー経営者も、そういう目で見てる人、多いんとちゃうかな。

普段からそういう目で人に接しているせいか、この人やったら年俸2,000万円払っても構わへん、みたいな人物にごくまれに会うことがあります。(ちなみに、自分のサラリーマン時代の年俸の最高額が2,000万円だったことは、このブログで公開済み。)

で、最近よく思うことがあります。例えば、同じ30歳中堅クラスの人物でも、なぜこの人の給料は低いままで、あの人には2,000万円払っても良い、と自分が思うんやろうと。その違いは、どこから来るんやと。

大企業、外資系、ベンチャーでそれぞれ給料が上がるロジックが異なるので一概に言えへんですが、今回は自分にとって一番身近なベンチャーの世界で、「なぜあたなの給料は上がらないのか」について書いてみます。

 

まず最初にベンチャーにとって、一番ありがたい人物とは、どういう人物かという話

テクノロジー重視のベンチャーであれば、業界で有名なトップクラスのエンジニアや研究者を迎え入れることが、将来の人材リクルーティングはもちろん、会社自体の成功是非を決めることがあります。AI、バイオ・ライフサイエンス分野なんかは、このパターン。ウェブやスマホを使ったコンシューマー向けサービスであれば、それこそ、いま流行りの芸能人(セレブリティ)株主を迎え入れるのも、戦略的に重要だったりします。

ただし、一部の特殊な事情を除いて、一般的なシード期のベンチャーにおいては、誰がなんと言おうと「売上に貢献できる人物」が圧倒的に重宝され、かつ存在価値が高いです。

売上に貢献できる人物というのは、単純に営業スキルが高い人ということではなく、売上に直結しそうな人脈を持つ人、結果を出せる営業チームを作れる人、日本ではなく海外で稼ぐ力を持っている人、という解釈の場合もあります。

よくうちの会社でも「こんなに作る人ばっかり増やして、売る人どうすんの?」と、あえて自嘲気味に言ったりします。

自分がエンジニア出身で、かつIT業界で長年ベンチャーをやってきたからこそ言えるジョークなんやけど、往々にしてIT系ベンチャーでは売上を立てるための組織を構築する前に、なぜか案件や顧客が勝手に舞い込むと仮定して、それをさばく人(エンジニア)を増やすことばかりに注力しがちです。

今まで「いやー、うちの会社、さばく人が足りなくて潰れっちゃたんだよね」というベンチャー経営者には、1度たりとも会ったことないです。ベンチャーは資金ショートが原因で潰れます。つまり、売上が立たないことが直接の原因。

ひるがえって、一番ありがたくない人物とは、どういう人物か。ここからは箇条書きで。

 

1、誰かが取ってきた仕事をこなすだけの人

「え、何がアカンの?」「それって、私のこと?」と思った人。ようこそ、おいでやす。

ベンチャーでは、1人が何役も同時にこなすことが日常的に求められます。普段はカスタマーサポートをやっているけど、プレスリリースを出す時に限っては広報担当をやる。社長が面接に出れない時は、人事担当として1次面接を代わりにやる。他の人のスケジュール調整もするし、来客時にはお茶も出す。で、またカスタマサポートの作業に戻る。1日で3役から4役を並行して進める。こんなん、ベンチャーでは当たり前。

一方で、ベンチャー経営者の立場から見ると、これらの行為は、本来は専任の担当者を雇うべき作業をみんなで分担してこなしてくれている、と認めつつも、新規の案件や顧客を獲得にはつながっていない、と考えられます。要するに会社にとっては、コストのままです。

なので、1日の作業のなかで少しでも、新規の案件や顧客の獲得につながる行為をやれば、経営者としては、その人の給料を上げる口実になるわけです。

具体的には、自分の得意な分野、知識を持っている業界で、アタックリスト(見込み顧客のリスト)を作る。社長や営業担当が訪問したところにフォローのメールや電話を代わりに入れる。これはと思った案件は、誰に言われるでもなく提案書・企画書を作る。などの行為です。

自分の経験上、その分野の専門的な知識を持っていながら、ずっと給料が上がらない人の特徴は、まさにこれです。自分が会社にとってコストのままであることに気づいていない。新規の案件や顧客を獲得してくれば、だれも給料アップには文句を言わんです。

もう1回言いますが、これはあくまでベンチャーの場合。大企業や外資系では、専門的な知識を伸ばすことで、それなりの給料アップがされる場合もあります。

 

2、英語がしゃべれない人

これは業種や経営者の価値観によるところが多いと思うけど、自分が2,000万円払っても来て欲しいと思う人物は、間違いなく全員英語が話せます。いや、正確には自身のキャリアップの中で英語は必須であると、人生のどこかのタイミングで判断して、自らをグローバルな環境に強制的に身を置いたことがある人、と言い換えた方がええでしょうか。

今の時代、英語が話せることはプラスではなく、ビジネスマンとしての最低必須条件。英語が話せない人は、今後ますます人口減少が進んでいく、この日本という国でしか経済活動ができない人なんですね。

言い方は悪いかもしれへんけど、タイタニック号(日本)に乗っていて、船が沈んでいく(人口減少)と分かっていながら、海で泳げない(英語が話せない)という状態。この後、この人に何が起きるかは映画の中身と一緒です。

この問題の解決策として、英会話教室に通うとか、レアジョブを使ってみるとかも、まぁあるんでしょうけど、強制的に仕事で使う環境に身を置かなければ、ハッキリ言って意味あらしまへん。

自分が、MBA持っている人をあまり好きじゃない理由も同じです。クチは達者なんやけど、発せられる言葉に実体験が伴ってないというか、リアリティが全く感じられない。こんだけ、テクノロジーによって急変している昨今のビジネスシーンで、過去の成功・失敗のケースを学ぶことに何の意味があるんやと、今でも思ってます。

英語も同じ。勉強してると言いながらも、普段の自分の業務は日本語だけでこなす。そんなもん全く意味あらしまへん。下手でもええ、とにかく英語や海外がからむ仕事は自分が一番先に手を上げて、やる。しかも、新規の案件や顧客の獲得につながるのであれば、ダブルで給料アップです。

 

3、ロボットやAIで置換できてしまう仕事をやっている人

これに自分が該当するかどうかを判断するには、いまやっている仕事が本当に自分でないと出来ない仕事であるかどうかを考えるのが、一番手っ取り早いと思います。

例えば、薬剤師という仕事。処方箋というインプットに対して、お薬というアウトプットを出す。一連のプロセスには、個性とかクリエイティビティが関与してはならず、誰がやってもインプットとアウトプットは同じであるべき仕事の代表格。しかも、ヒューマンエラーによる損失が多いのも特徴。こういう仕事は、かなり近い将来にロボットとAIによって置換されます。

一方で弁護士という仕事。リーガルテックが今後進歩すると言われつつも、クライアントはやはり「あの人にお願いしたい」と属人的な部分を評価して仕事を依頼してくるのは、これからも変わらんと思います。なぜなら、個々人の弁護士によってインプットとアウトプットが大きく異るからです。

プログラマという仕事。仕様書通りにコードを書く人は、これから価値がどんどん下がります。クラウドIDE(ブラウザ上でコードを書く環境)が普及するにつれて、もしくはGithubなどのレポジトリ(コードを保管しておく場所)にAIが導入されるに従って、ある程度のロジックを決めた段階でAIが「それって、こういうコードでいかがでしょうか?」と提案してくる。プログラマの仕事は提案されたコードの中から選ぶだけ。もしくは微調整の作業のみ。

一方で、英語はもちろん数カ国語が話せて技術も経営も分かる人物。マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ、グーグルCEOのスンダル・ピチャイ(共にインド出身)の年俸が数十億円なのは、なぜでしょう。それは、彼らの仕事がロボットやAI、他の人では絶対に置換できないからです。

ベンチャーは、経営リソースの制限があるため、とにかく人件費を下げるためのインセンティブは大企業や外資系よりも、よっぽど強いです。ちょっと前までなら人がやっていた書類選考をHRTechのAIに任せる、ビルの管理会社からパートタイムの清掃員を2週間に1回オフィスに派遣してもらっていたところを代わりにロボット掃除機のルンバで済ませる、定型的な作業はクラウドソーシングを使ってシステム的にマッチングされた最適な人に手早く外注する、これ全部、いまうちの会社で起きていることです。

自分と同じ専門知識を持つ他人が明日オフィスにやってきたとして、それでもあなたの仕事は残りますか?近い将来、それは「人」ではなく、ロボットやAIである可能性が、とても、とても高いです。

 

以上です。

これら3つのどれかに該当する人は、残念ながら将来給料が上る見込みは低いです。少なくとも、急成長するベンチャーにおいては、確実に周りから置いていかれるタイプの人になってしまいます。そうならないためには、今のキャリアの延長線上に将来のキャリアを考えることでななく、自分の職種を全く変えるくらいのスキルの入れ替え、もしくは大幅な強化が必要やと、考えます。

2,000万円出せるかどうかは個別相談やけど、我こそはと思う人は、ぜひうちの会社の門を叩いてみてください。

STARTUP(スタートアップ) 起業家のリアル

STARTUP(スタートアップ) 起業家のリアル、読了。発売日の時点では、なぜかKindle版がなかったので、数カ月ぶりに単行本で購入。東京〜福岡の飛行機の中でイッキ読み。

久々に本を持ち歩いて思ったけど、出張中に読むためだけに単行本をカバンに入れて持ち歩くのは、やっぱり2017年らしくない。

普段の自分のカバンの中身はSurface Pro(770g)、Kindle(200g)、アウトドア用の折り畳み傘(130g)くらいしか入ってないので、一冊200g以上もする単行本は、余計に重く感じるというか、こんなもんカバンに数冊も入れて持ち歩けんな、と思ってしまう。

それこそ、足腰を鍛えるための道具としての価値しか、本にはないんとちゃうか、とすら思ってしまう。

人に情報を伝達するための手段として、地球の貴重な天然資源である木を切り倒して、紙を作って、1回読まれるためだけに「本」を印刷する。もう、こういうのは止めんとイカンですね。新聞しかり、企業間取引で使われるビジネス文書しかり。

さて、本の中身の話。いつも通り先に結論を言うと、この本の対象者は以下に限定される。

1、起業を考えている学生
2、ずっとサラリーマンやってて40歳過ぎて初めてベンチャーの世界に足を踏み入れる人
3、起業家1年生

逆に、5年以上ベンチャーを経営している現役CEO、2社目・3社目のベンチャーを起業するベテラン起業家、海外の起業家によるポッドキャストを英語でいつも聞いている人、には一切オススメできない内容。残念ながら、自分は後者3つの全部に当てはまるので、この本からは新しい気付きは今回は得られへんかったです。

ちなみに、海外の、特にシリコンバレーの起業家のポッドキャストを聞いていると、もっと凄い劇的なストーリーで起業家になった人の話、けっこうあります。

Life extension(寿命延命)だけに特化したベンチャーキャピタルLongevity Fundを立ち上げた23歳の女性起業家Laura Demingの起業ストーリーとか、ほんまに凄いです。こういう年齢で、こういうトピックで、数十億円のVCファンドを作れるんかと。もっと日本のメディア・書籍でも、こういう人物について取り上げて欲しいです。

それはさておき、本書の構成はと言うと、以下の5人の起業家へのインタビューをまとめたもの。

・マネーフォワード 辻庸介氏
・ビザスク 端羽英子氏
・Cerevo 岩佐琢磨氏
・ユカイ工学 青木俊介氏
・クオンタムバイオシステムズ 本蔵俊彦氏

自分はいずれの経営者の方にもお会いしたことはないけれども、メディアではよく拝見しているので、ある程度、それぞれの方の人物像と起業に至る経緯は知ってました。

著者が、日経新聞の元記者である村山恵一さんであることもあってか、文章の書き方が基本的に「そのぞれの人物が、いつ、どうやって、サラリーマンから起業家に転身したか」という部分だけにフォーカスされてます。

だから本のサブタイトルも「普通の私が挑戦した理由」。ちゃんとサブタイトルと100%合致した内容になっているところは、さすが元記者。

逆に、それぞれの企業の事業自体を詳しく知りたい、もしくは、それぞれの起業家が未来をどう考えているかという目的で読むと、あまり情報は得られないと思います。

この5人の経営者の方は、メディアに最近よく露出されている、いわゆる「旬の人」なので、そういう人の人物像を知りたいという、流行りもんが好きなミーハーな読者には、オススメできるかもです。

まぁ、自分もこの本買って読んでる時点で、ミーハーやけど(笑)