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Month: 7月 2014

今の時代における P2P の役割り

この分野は少しだけ自分の専門なので、軽く考察したいと思います。

米Yahoo、イスラエルのビデオ配信スタートアップのRayVを買収 – THE BRIDGE

2000年後半、動画配信系のスタートアップを自分でやっていたころは、動画コンテンツの配信コストが今よりも随分と高く、自社で数ギガの専用線をデータセンターに引いて、そこから各視聴者の端末にコンテンツを直接配信するということをやっていました。

そんな中、配信コストを大幅に削減することに成功したというタレコミで登場したのが、Skype の創業者である Niklas Zennström と Janus Friis によって作られた P2P 型の動画配信サービス Joost だったわけですが、結果的に言うと Joost はうまく行きませんでした。

Joost がうまく行かなかった理由は色々と考えられますが、大きなところは、1)専用クライアントアプリをダウンロードする必要があった。2)視聴者が見たいと思うコンテンツを確保できなかった。3)P2P のメリットが活かされなかった。という3点だと自分では分析しています。

1)については、その後ウェブベースに移行して専用アプリのダウンロードは不要になったものの、それにより P2P のメリットが完全になくなり、その後も状況も改善されることはなく、サービスは 2012 年にシャットダウンされました。

今回、Yahoo が買収した RayV は、細かい技術は異なるものの基本的には Joost と同じ P2P 型の動画配信プラットフォームを提供するスタートアップです。

なぜ、Yahoo が P2P 型の動画配信プラットフォームを買収するのかという話ですが、それは一重に先にアナウンスされたライブ動画配信サービスの Live Nation との協業によるもので、ここに RayV の技術を投入することで大きなメリットが得られるという公算ではないでしょうか。(事実、海外のメディアでは既にそのように今回の M&A の目的を定義している様子ですが。)

P2P 型の動画配信で最大限のメリットを得るためには、一度に大勢の視聴者が「同じ」コンテンツを視聴する必要があります。

P2P は、その仕組み上、動画コンテンツを配信サーバーからではなく、ネットワーク上の距離で近いところにある他の視聴者の端末から動画コンテンツを取得します。要するに BitTorrent などの P2P 型ファイル共有と同じ仕組みです。

なので、ある大物アーティストのライブ映像を100万人の視聴者が同時に視聴した場合、配信サーバーから送出されるオリジナルの動画コンテンツのデータ量はごくわずかで、残りは視聴者の端末(PC、スマホなど)同士で勝手に配信が行われます。

動画を配信する事業者側からすれば、P2P 技術を採用することで配信コストが低く抑えられるうえに、配信サーバーからネットワーク上で距離の遠いところに視聴者が居ても、その視聴者の近くに同じ動画コンテンツを視聴しているユーザーがいれば、少なくともそのエリア近辺では遅延なくライブ動画を配信できるという、一石二鳥のようなソリューションが手に入るわけです。

ただし、これを実現するためには、上に書いたように、一度に大勢の視聴者が「同じ」コンテンツを視聴する必要があるため、YouTube のようなストック型で、かつロングテールの動画配信サービスにはそもそも向きません。なぜなら、YouTube のようなサービスでは、100万人が一度に同じ動画コンテンツを同じ時間帯に視聴するというシチュエーションは、ほぼ発生しないためです。

なので、今回の Yahoo (Live Nation) と RayV のような、ライブ映像に限定した P2P 技術の採用は非常に賢い選択だと言えます。

前置きが長くなりましたが、ここからが今回の投稿の本題です。

一説では、2020年にはインターネットに繋がる端末の数は500億台を超えると試算されていますが、このような膨大な数の端末がネットに接続されて、端末同士でデータのやりとりを行うようになると、今で言う「ビッグデータ」の比ではない天文学的なデータ量が、毎日ネット上を飛び交うようになります。

そんな時代になると、全てのデータをクラウド(サーバー)で一旦受け取って、然るべき処理やフィルタリングを行った後に、再度別の端末に配信するという今までの仕組みは引き続き使わるものの、一方で、一部では配信コストや遅延の観点から P2P 技術が再度見直されるのではないかと考えています。

今回の RayV は、動画コンテンツに限った話ですが、今後は IoT に舞台を移して、ヘルスケアや個人情報などのセンシティブなデータに特化したセキュアな P2P、Bluetooth / NFC / Internet など通信手段を選ばない P2P、IoT に使われるロープロファイルのハードウェアで効率良く動作する P2P など、様々なバリエーションが出てくると予想され、この分野でのさらなるビジネスチャンスがあるとも考えています。

世の中、IoT 端末、IoT ガジェット、なんちゃら向け IoT 製品と、エンドユーザー向けのプロダクトばかりに注目が行きがちですが、ゴールドラッシュで儲けた人は、結局のところ「つるはし」を作って売った人だという格言がある通り、来るべく IoT 時代に向けて、必要なインフラを作って売る商売が、実が一番面白いのではないかと最近つくづく思う次第です。

というわけで、ハードウェア大国に住む関西の起業家&スタートアップのみなさん、頑張りましょう!(笑)

スタートアップにみられる3つの誤解

1、起業家精神とは幸せへの近道である

現実:そうとは限らない。自身の会社や自分のやっていることに対して、100% 情熱を持っている起業家にとってはスタートアップは幸せへの近道になる。ただし、スタートアップ人生には困難がつきもの。出来たばかりの会社に見られるあらゆるリスクや不安定要因によって、日中の業務はストレスで一杯になり、そのストレスは仕事が終わっても消えることがない。

「スタートアップをやる時は、あらゆるものをリスクにさらすことになる。夜な夜な目が覚めて、自分の会社のことを考え続ける。もし自分の会社が失敗したら、自分の人生・家族・評判に対していったい何が起きるのか考え続けることになるだろう。」

2、いつどんな時間でも働くことができる

現実:テクニカルに言えば、イエス。起業家は、活動可能な時間の中から実際に活動する時間を「自分で」決める。以下は、Everonote の CEO (FI のメンターでもある) Phil Libin によるフレーズ。

「起業家は、いつでも好きな時に1日20時間働くことができる。」
(このジョークをどう受け取るかは起業家次第。)

シリコンバレーで管理職コンサルティングを手掛ける Invisor Consulting の Managing Partner である Steve Tobak によるフレーズ。

「起業すると、あらゆる職務を自分一人でこなし、長い期間に渡って1日24時間・週7日働き続ける状況に直面するだろう。それ自体はまったく悪いことではない、ただし、そういった状況下では全ての人が自由とコントロールを感じるとは限らない。」
(つまり起業して何でも自分でこなすようになったからといって、それが完全なる自由とコントロールを意味するわけではない。)

3、個人の時間がたくさん持てるようになる

現実:絶対にそんなことにはならない。なんちゃって起業家(英語で “Wantrepreneurs”) は、起業することによって家族・友人・楽しいこと・「そしてさらに」成功するベンチャー企業を一度に手にする事ができると信じている。しかし、犠牲は常に起業家自身の個人的なもので払われることになる。

連続起業家であり、テクノロジー起業家の教育者でもある Peter Hinssen によるフレーズ。

「スタートアップするということは、家族に対してわずかな時間しか持てず、ソーシャルライフや祝日・祭日に対して全く時間が持てなくなるということ。あらゆる時間は自分のスタートアップのことを考える時間に捧げることになる。」

なので、Forbes 誌のカバーを飾っている CEO 達に想いを馳せる前に、自分は全てを手に入れることはないことを自覚して欲しい。成功した起業家の多くは、実はワークライフ・バランスが上手く出来ていない。絶対に不可能ではないにしろ、ワークライフ・バランスは仕事のためにねじ曲げられることになるだろう。

最後に、この諺(ことわざ)は正しい。

「愛する仕事を選びなさい。そうすれば人生で一日たりとも働く必要はなくなる。」

転載元:ファウンダー・インスティテュート関西 Facebook ページ

あらゆるスタートアップがコピーすべき Google で学んだ7つのこと

全米3位のアクセラレータ AngelPad の創業者 Thomas Korte による、「あらゆるスタートアップがコピーすべき Google で学んだ7つのこと」について。

1. Ask “why not”? … not “why!”

「なぜ?」ではなく、「なぜそうでないのか?」を問うこと。例えば、セルゲイ(Google の創業者)はいつも「なぜもっとやれないのか?」「なぜもっと速くならないのか?」「なぜ既存のルールを壊す事ができないのか?」と問い続けていた。

2. No Opinions, just Data!

Google では会議に出席して “I think … (私の考えは …)” と発言することは許されない。A/B テストの結果などのデータが全て。データが無い状態で会議に挑むと、意見だけが先行して、結局一番声の大きい人の意見が通る。

3. There is no such things as over-communication

コミュニケーションの取り過ぎなんてことはありえない。Google では MoMA という社員向けのイントラネットがあって、IPO の前までは、社内のあらゆる情報がイントラネットで共有されていた。あらゆる情報が共有されて、over communication (コミュニケーションの取り過ぎ)とも言える状態になると、会社が完全に透明化されて、社員は会社を「信用」するようになる。

4. Ask for forgiveness, not for permission

Google では本をスキャンしてオンラインに載せたことで、問題になったことがあった。結果的にそれが Google Books につながったが。タクシー配送サービスの UBER は、ビジネスを始める際に政府やタクシー業界に permission (許可) を事前に得たわけではない。とにかくビジネスを作り出して実践しただけ。後から forgiveness (許し) を請う形で良い。このカルチャーはシリコンバレーでは他の土地よりも根付いているが、もっと根付かさなければいけない。

5. Hire for the company, not for the job

Google が成功した理由の1つは明らかに hiring (雇用) だった。スタートアップでは、job (職種) に合わせて人材を雇用しては絶対にいけない。例えば、UX デザイナーという職種だけで人材を採用した場合、その人材は数ヶ月後には必要なくなるかもしれない。それは会社で必要とされるスキルやテクノロジーが常に変わり続けるため。代わりに、会社のカルチャーにフィットする人材を雇用する。Google では “Do they solve problems?” (彼らは問題を解決することができるか?)、そして “We hire people lile us.” (我々は自分たちに似た人材を雇用する) というルールがあった。

6. Give a license to dream

Google では仕事に全く関係ないプロジェクトに自分の 20% の時間を使うことが許された。とてもスマートな人材に、会社が定義した業務範囲以外の自由な枠を与えると、とんでもなくクールなものを作ることが分かった。昔、マリッサ (元 Google 副社長) が調査したところ、2005 年にローンチされたプロダクトは半分が、実は 20% の自由時間によって作られたものだと分かった。

7. Think money last and users first

ユーザーを優先させ、利益は最後に考える。今はアプリの削除なんて一瞬で出来てしまうので、ユーザーに対して正しいことを行わなければ、あっという間にユーザーを失うことになる。逆に、ユーザーに対して正しいことをやり続ければ、利益は後から自ずとついてくる。ただし、これは利益のことを全く考えなくて良いということではない。
Google はクールなテクノロジーだけを作って、利益のことを考えていない会社だと言われることが良くあるが、実際はそうでない。Google では “Build cash register early.” (収益源をできるだけ早く作れ) という格言がある。

転載元:ファウンダー・インスティテュート関西 Facebook Page