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Month: 2月 2014

レポート:スタートアップ・ファウンダー101@グランフロント大阪

シリコンバレー発のスタートアップ・アクセラレータであるファウンダー・インスティテュート

関西での初回説明会イベント「Startup Founder 101」を、グランフロント大阪 Global Venture Habitat にて2月20日に開催しました。

平日の夕方という時間にも関わらず、たくさんの方にお集り頂きました。個人的に嬉しかったのは、このブログや Meetup.com を通じて、関西在住の外国人の方からも参加頂けたことです。サンノゼ(シリコンバレー)・ドイツ・イスラエルなど様々な出身地を持つ方に集まって頂き、とても国際色豊かなイベントになりました。

こういったリアルな場でのイベントを行うことで、私たち日本人だけでなく、海外の方も含めた起業家熱が、ますます関西で高まっていると実感しました。

また、シナジー・マーケティングの谷井社長からは、昼間はアパレルの販売員をやりながら、仲間と一緒に夜中に集まって、たった1台の PC サーバで CRM 事業を立ち上げられたという、当時の貴重な起業体験談をお話頂きました。数万人の顧客データが入った唯一の PC サーバのハードディスクがクラッシュした時の話は、今だから笑えるネタですが、こういったヒヤリとする瞬間もスタートアップの醍醐味の1つだと感じて頂けたかと思います。

イベントの最後には、参加者の方々から日本語・英語の両方でたくさんの質問を頂きました。これからファウンダー・インスティテュートのイベントに参加される方のため、当日の質問と回答をここで共有したいと思います。

Q:対象分野は IT のみですか?
A:ファウンダー・インスティテュートでは、「テクノロジー・スタートアップ」という言葉で対象分野を定義しています。IT だけでなく、ハードウェア・ヘルスケア・教育なども含まれ、テクノロジーを扱う全てのスタートアップが対象となります。

Q:Exitを前提とした会社のみが対象ですか?
A:M&A や IPO などの exit (出口) を前提としない会社でも参加可能です。ただし、カリキュラムに含まれる「資金調達」では、様々な exit 戦略 (出口戦略)、6ヶ月・12ヶ月の資金計画、投資家からの資金調達方法などについて学んで頂きます。カリキュラムの概要については、こちらのページをご覧ください。

Q:ファウンダー・インスティテュートを受講するメリットは?
A:ファウンダー・インスティテュートを受講して卒業することによって、下記のスライドで示す5つの成果が得られます。

Slide11

1、起業経験豊富なメンターによって精査されたビジネスアイデア。
2、各国の法律家によって正しく設立された会社組織。
(共同創業者の株式保有比率などの決め事も含む。)
3、実行可能な収益モデル。
4、プロダクト開発・サービス開発の進捗。
5、自身のビジネスを正しくプレゼンする技術と自信。

また、他のスタートアップ・アクセラレータとは異なり、現在の仕事を続けながらでも通える点もファウンダー・インスティテュートを受講する大きなメリットの1つに挙げられます。

Q:VC とコンサルを一緒にしたようなイメージですか?
A:ファウンダー・インスティテュートではスタートアップに対する投資を行わないため、VC としての機能は持ちません。また、コサルティング費用の範囲内で様々なサポートを行うことが目的ではなく、長期的な視点でスタートアップの成功を目的にしている点も異なります。

Q:事業ステージの違いによる差はありますか?
A:ファウンダー・インスティテュートには、様々な事業ステージの方が参加されます。チーム・ビルディングやメンタリングは、こういった事業ステージの違いを考慮しながら行われます。

Q:3.5%のシェアがファイナンスの障害になることはありますか?
A:ファウンダー・インスティテュートでは参加企業に株式の 3.5% をボーナス・プールという形で付与して頂くことになっています。この 3.5% は他のスタートアップ・アクセラレータが求める株式比率に比べると圧倒的に低い数値に設定されています。

Q:既存企業でも受講対象となりますか?
A:ファウンダー・インスティテュートには、これから起業される方、すでに起業済の方、大手企業で新規事業を立ち上げられる方、将来起業を検討している学生の方が受講対象になります。従って、既存企業でも参加頂けます。

Q:英語での参加・受講は可能ですか?
A:教材とレクチャーは基本的に日本語で行われる予定ですが、英語での参加・受講については現在確認中です。

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シリコンバレー発のスタートアップ・アクセラレータであるファウンダー・インスティテュート。現在関西でのローンチ準備を進めています。場所はグランフロント大阪で、京都・神戸・奈良などの関西の他のエリアからのアクセスも良好です。

普段の仕事を続けながら、第一線で活躍する起業家・メンターと一緒に、自分のビジネスを立ち上げてみませんか?ご興味をお持ちの方は、ぜひこちらのフォームから申込ください。

Udemy が Y Combinator に参加しなかった理由

オンライン教育プラットフォームを運営する Udemy。昨年末にトータル $16M の資金調達を達成し、200 万人もの生徒を抱え、毎月 800 以上ものコースが追加される、まさにオンライン教育の先駆者的存在。

そんな Udemy ですが、元々は普通のサラリーマンだったメンバーによって 2010 年に立ち上げられ、鵜用曲折しながら現在に至っています。その経緯がなかなか興味深いのシェアしたいと思います。

共同創業者の1人である Gagan Biyani は、Udemy を創業する前は SAT を学びたい人向けの動画教材をオンラインで販売するサイトを考えていたそうです。※SAT (大学進学適性試験):アメリカの大学入学時に必要とされる試験。

アイデアを思いついた時のメンバーは、自分(非エンジニア)+ビジネス担当+開発担当の3人。

アイデアを実際のビジネスの形にしようと、シリコンバレーのアクセラレータに申込んで受理されたものの、アクセラレータに参加する前夜になって、開発担当の共同創業者が「オレ、辞めるわ」と言い出し、唯一のエンジニア人材を失ったまま、参加することに。まぁ、ここまではよくある話です。

ビジネス担当×2人では何も作ることができず、最初の2ヶ月間は開発者を探すことだけに奔走。ビジネスを作るという状態ではなかったそうです。

そんな中、Gagan の唯一のパートナーであるもう1人の共同設立者が「オレ、辞めるわ」と言い出します。あっという間に自分一人になってしまいました。まぁ、これもよくある話です。

この時 Gagan のとった行動が、後に彼の人生を変えることになります。その行動とは、自分のスタートアップをあっさりと捨てて、他の人が作ったスタートアップに仲間として加わること、です。

「絶対に最後まであきらめるな。何回 pivot (方向転換) してでも自分のビジネスを作れ。」とか、「我々はキミたちという人に投資している。(なのでビジネスはなんでも良い。とにかくリターンを生んでくれ。)」などといったセリフを VC は言ってのけたりしますが、Gagan が居たアクセラレータでは、それを強要しませんでした。

Gagan は、アクセラレータに参加していた他の70人の起業家からそれぞれのアイデアを聞き出し、そのなかから Udemy の原型を見つけ、そのチームに join することを決めます。これが Udemy 誕生の瞬間です。要するに完璧に「他人のフンドシ」であります。

その後、Gagan と彼のチームはアクセラレータを卒業し、最初の資金調達となる $1M のシードラウンドを無事に終えることになります。

あるインタビューで Gagan はこう聞かれたそうです。「$1M も調達できるチームなのに、どうして Y Combinator や TechStars に入らなかったのか?」

この質問に対する Gagan の回答は次の通り。

Y Combinator や TechStars に入ろうにも、テクニカル共同創業者の数が足りなかった。(注:YC / TechStars は技術メンバーがいないチームは基本的に受け入れない。)

そして、なによりも Y Combinator や TechStars のようなプログラムに入るのは、当時の我々にはまだまだ早すぎたと思ったことが一番大きい。

こんな理由から、他のアクセラレータへの参加を選んだ Gagan ですが、むしろこの選択が良い結果につながったと後に付け加えています。

このアクセラレータに参加した時に1つだけ想定外だったことがある。それはこのアクセラレータが持つ起業家とメンターの強力なネットワークだ。

 

20〜30人のメンターの中には、Mint.com 創業者の Aaron Patzer、Docstoc 創業者の Jason Nazar、Udemy と同じオンライン教育分野で $7M の資金調達をすでにやってのけた Moonshoot 創業者の Jay Jamison がいて、受けられるメンターシップの量と質は Y Combinator や TechStars を遥かに超えていると感じた。

 

Y Combinator や TechStars にもメンターはいるが、プログラムにしっかりと組み込まれている人はごくわずかで、他の人は結局のところ良い投資先を探しにきているだけ。

 

今の仕事を辞めずに、働きながら参加できる点も、このアクセラレータの最大のメリットの1つだと思う。(注:Y Combinator や TechStars はプログラムの期間中はアメリカに移住して、100% 自分のスタートアップにフォーカスすることが求められる。)

Gagan が普段の仕事を続けながら参加し、Udemy の原型と出会い、プロダクトを完成させ、投資家とのネットワークを構築し、$1M の資金調達を行う方法を学んだ場所、それがファウンダー・インスティテュートだったという話です。

もうお分かりですね?

起業経験もなく、ビジネスのアイデアはあるが、それをどうやって実際にお金を産む仕組みにするのか分からない。熱意はある。かといって、いますぐに仕事を辞めるわけにもいかない。

そういった状況にあった Gagan にとって、ファウンダー・インスティテュートは最適な選択だったわけです。

結果的に Gagan と彼のチームが作った Udemy は、Y Combinator に参加した類似スタートアップを押しのけて、今では $16M の出資、200 万人のユーザを持つスタートアップにまでに成長しています。サラリーマンをやりながら立ち上げたスタートアップであるにも関わらず、です。

リスクを嫌うのは日本人だけではなく、それはアメリカ人、ましてやシリコンバレーで生まれ育った Gagan のような人物(Gagan はカリフォルニア州フレモント出身)でも同じです。全員が全員、いますぐに仕事を辞めて、明日から自分のスタートアップに 100% コミットできる環境があるわけではないのです。

別のインタビューで、Gagan は絶対に単独で起業してはいけないと話しています。起業する際は、必ず何かしらのインキュベータ・アクセラレータに参加して、先人の失敗を学んで同じ過ちを繰り返さないこと、精神的なサポートをしてくれる他の起業家・メンターのネットワークの中に身を置くこと、PR の際に自分のことを知ってくれている人が 100 人以上いる状態を作ること、などを必須条件として述べています。

こういう事例を見ると、むしろ日本人の気質にあったアクセラレータはストイックな Y Combinator / 500 Startups / TechStars のようなタイプではなく、こういったアクセラレータなのではないかと思えてきます。

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さて、シリコンバレー発のスタートアップ・アクセラレータ「ファウンダー・インスティテュート」ですが、関西でのローンチ準備を現在進めています。場所はグランフロント大阪、京都・神戸・奈良などの関西の他のエリアからのアクセスも良好です。

普段の仕事を続けながら、第一線で活躍する起業家・メンターと一緒に、自分のビジネスを立ち上げてみませんか?ご興味をお持ちの方は、ぜひこちらのフォームから申込ください。

ひと月たった1万5千円でシリコンバレーに行く方法

まず最初に1つお断り。表題から察するに、サンフランシスコ行きの格安航空券、もしくはベイエリアのお得な AirBnB 宿の情報かと思いきや、そういう話ではないです。

先日から何回かに分けて紹介している、シリコンバレー発の起業家育成プログラムである ファウンダー・インスティテュート関西 についてのアップデートです。

この度、関西でのテストローンチに伴い、16週間のプログラム費用を早期申込者限定で30%ディスカウントすることが決まりました。その結果、ファウンダー・インスティテュートに参加するための費用は $649 に値下げとなり、ひと月あたりのコストは約 $160 (約1万5千円)となりました。

駅前留学の CM ではないですが、これが「ひと月たった1万5千円でシリコンバレーに行く方法」と表現した理由です。つまり、英会話教室くらいの費用でシリコンバレー流のプロフェッショナルな起業塾に働きながら通える環境が関西でもようやく整った、というアナウンスになります。

物理的にシリコンバレーに移住して起業するには、費用だけでなく、ビザの問題、英語という言葉の壁、現地のエンジニア人材の異常なまでの獲得競争、人材獲得にともなう膨大な資金の手配など様々な障壁が存在することは、向こうで起業された経験のある方ならよくご存知かと思います。

一方で、1,000 社以上のテクノロジー・スタートアップの起業実績を持つシリコンバレー流のスタートアップアクセラレータに、関西に居ながらにして参加することができるというのは、自分がアメリカ西海岸で IT を学んでいた 1990 年代後半、さらに東京で初めて起業した2000年代前半には考えられなかった環境で、正直起業家を取り巻く今の日本の環境がうらやましいくらいです。

シリコンバレーに移住せずとも、リスクを最小限に抑えながら、現地の起業手法を学べる環境が手に入りつつある今、それを選択しない手はありません。

興味を持たれた方は、ぜひこちらのフォームからご応募ください。応募の時点ではプログラム費用は発生しません。あくまで関西エリアでの需要を計るために、みなさんに応募という形で意思表示を頂いています。

ファウンダー・インスティテュートを関西に持ち込めるかどうかは、みなさんの関心のボリュームにかかっています。ぜひ一人でも多くの方に参加して頂けるよう、我々も頑張りますので、よろしくお願いします。

シリコンバレーのグローバル化はなぜ必要か

前回のブログで少し触れさせて頂いた、シリコンバレー発の起業家育成プログラムであるファウンダー・インスティテュートですが、昨日正式に関西でのテストローンチがアナウンスされました。

このアナウンスを踏まえて、なぜ自分がファウンダー・インスティテュートに興味を持ったのか、なぜこのようなプログラムが関西に必要なのか、今回はその辺りについて書いてみたいと思います。

ファウンダー・インスティテュート(以下 FI)は、2009 年に連続起業家の Adeo Ressi によって設立され、現在世界 55 都市・34 カ国で 1,000 社以上のスタートアップを生み出し、10,000 人もの新規雇用に貢献してきた圧倒的な実績を持つスタートアップアクセラレータです。

4ヶ月間のパートタイムのプログラムであるため、社会人の方も仕事を続けながら学べる、スタートアップ版 MBA ともいえる存在です。

特筆すべきは、FI の卒業生が立ち上げたスタートアップの 90% が現在も活動している点で、これは  FI がスタートアップに「死なない方法(=生き延びる方法)」をしっかりと教えていることに起因しています。

デモデーに向けたプロダクト開発・ピッチ練習・資金調達交渉にフォーカスを置いているアクセラレータが多いなか、この FI のポリシーは他とは明確に異なります。したがって、FI にはいわゆる卒業式にあたるデモデーは存在せず、投資家を集めて「さぁ、投資してください」的なお膳立ても FI は一切やりません。

FI の位置付けをより明確にするために、次の図を用意しました。

Slide08

まず最下層にあるのが、自分も毎回メンターを務めさせて頂いている週末起業イベントの Startup Weekend。これは、いわゆるコミュニティレベルの活動で、大学や企業が主催するピッチイベントなどもここに所属します。

その上が FI で、他と区別するため「アイデアステージ・インキュベータ」という呼び方をしています。つまり、みなさんが持っているビジネスアイデアを昇華させて、本物のビジネス(=会社)を作り出すこと「だけ」にフォーカスした組織です。

その上が、Y Combinator, 500 Startups, TechStars などのデモデーを設けているアクセラレータです。スタートアップに投資を受けさせることを主な目的としているため、ここではファンディング・プログラムという呼び方をしています。

最上層は Angel Investors という呼び方になっていますが、アクセラレータを出たスタートアップが次に進む所という意味でエンジェル投資家・VC の両方を指しています。ここに所属するのは AngelList, Gust, SecondMarket などのオンラインサービス、そして世の中に無数存在するベンチャーキャピタルです。

前置きが長くなりましたが、つまり何を明確にしたいかというと、FI は既存の組織のどれとも競合せずに、むしろスタートアップが成長の階段をスムーズに駆け上がるための橋渡し役的な位置を担っている、ということです。ここをまず理解することが、既存のプレーヤーとうまく付き合うための重要なポイントだと考えています。

さて、ここからが本題ですが、自分が FI に興味を持ち、昨年から立ち上げのお手伝いをさせて頂いた理由の1つが、FI がそのミッションに掲げる「100万人の新しい雇用につながる持続可能なスタートアップエコシステムを作ること」です。

残念ながら、関西には一目で分かるスタートアップエコシステムはまだ存在せず、起業を目指す人と既に起業した人がノウハウや経験の情報交換を行う場所や、起業した者同士が切磋琢磨しながらお互いのビジネスを成長させていけるような健全な競争環境がありません。

一方で、シリコンバレーにはすでに50年余りのスタートアップエコシステムの歴史があり、成功した起業家がメンター&投資家として次の世代の起業家を育成し、育成を受けた起業家が成功して、さらに次の世代の起業家を育成するというポジティブなスパイラルがずっと起きていることが、あの土地を世界の中で特異な場所にしています。

FI がミッションに掲げる「シリコンバレーのグローバル化」とはまさにこれを指していて、彼らがやろうとしているのは単純に儲かる会社を効率良く作る方法をフランチャイズで増やしているのではなく、シリコンバレーの持続可能なスタートアップエコシステムを世界に広めようとしているわけです。自分は、この部分の考え方に納得して、強く惹かれました。

では、FI のような既に確立された成功モデルをシリコンバレーから輸入して、関西で展開すれば起業家はたくさん生まれるのかというと、答えは「ノー」だと考えています。そもそも起業を目指して人が集まる場所は、今のところは東京であって、関西ではありません。では、関西ではどのようにすれば起業を志す人が増えるのでしょう。

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そのカギを握るのが、関西に存在する大手・中小零細企業、そして大学・専門学校などの教育機関だと考えています。

関西にはパナソニック・シャープなどの総合家電メーカー、村田製作所・堀場製作所などの半導体メーカー、任天堂・カプコンなどのゲームメーカー、OMRONなどのヘルスケアメーカーなど、モノ作りに長けた会社がたくさん存在しています。にも関わらず、先日のブログで書いた Nest (Google に32億ドルで買収) のような次世代のベンチャー企業や製品が、なぜ関西から生まれないのでしょう?

いま関西の企業は、その規模に関わらず苦戦を強いられているところが少なからずあります。理由は様々ですが、かなりの部分で共通して言えるのは、1)製品と市場のサイクルがとても短くなってきている。2)これまでのモノ作りの考え方の延長線で作った製品では消費者に受け入れられにくくなってきている。3)IT を始めとする様々な付加価値を見出し、それを積極的に取り入れて製品やサービスに反映する、新しい見方が出来る人材が社内に少なくなってきている。という3点だと考えています。

最初の2つのポイントは外部に起因するところも多々ありますが、自分は3つ目のポイントこそがあらゆる問題の根源で、これを FI のようなプログラムを活用することで解決できるのではないかと考えています。

最近は日経新聞でも、ほぼ数日に1回の頻度で社内ベンチャー制度、もしくは社内ベンチャー人材育成に関わる記事を目にするようになりましたが、一方でそれらの現場に携わっておられる方々の話を聞くと、会社の方針は理解されつつも、確立された仕組みやベストプラクティス(成功事例・最優良事例)がほとんど社内にないため、手探りの状態で進めているのが現状だそうです。

1,000 社以上の起業実績を持つ FI のようなプログラムは、こういった転換期を迎えている企業の社内ベンチャー人材(=社内起業家)の育成ニーズと、かなりうまく合致していると個人的には考えています。実際、大手コンサルティング会社が FI を活用しながら社内ベンチャー人材育成を効果的に行ったという事例も海外では次々に出てきています。

逆に企業側から見れば、社員の通常の業務には全く支障を及ぼさずに、たった4ヶ月で新規事業や新製品・新サービスの立ち上げに関わるノウハウをプロフェッショナルな集団から学べるというメリットは、アウトソーシングという観点からもそれなりに大きいのではないでしょうか。

最後に、大学・専門学校などの教育機関ですが、これは言うまでもなく日本で屈指の教育機関を保有する関西ならではの強みです。今後、関西にある教育機関と積極的に連携することで、起業を志す学生さんの成功率をより高め、さらに起業という文化をさらに身近に感じてもらえるようなると考えています。

文章が長くなってきたので続きはまた別の機会に書きたいと思いますが、個人的には FI のような専門的なプログラムは、すでに起業しているスタートアップ関係者の方々にこそ、実は参加するメリットがあるとも考えています。

その理由は、ほとんどのスタートアップの失敗原因は、過去に他のスタートアップでも確実に起きていて、FI ではそれを回避すべき失敗パターンとして体系化して共有しているためです。普段のプロダクト開発を続けながら、たった4ヶ月間で 1,000 社のスタートアップの成功・失敗事例から抽出されたノウハウを学べるという点は、やはりメリットが大きいのではないでしょうか。

ここまで読んで頂いて、FI に興味を持って頂いた方、本当にありがとうございます。今回の FI 関西の立ち上げに伴い、初回の説明会イベントを下記の要領で開催させて頂きます。

将来起業を検討されている方、大手企業での社内ベンチャー人材育成を担当されている方、起業コースのある大学・専門学校関係者の方に、ぜひお越し頂ければ幸いです。

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イベント名:
ファウンダー・インスティテュート関西
初回説明会 Founder Institute 101

日時:
2月20日(木) 18:30~

場所:
Global Venture Habitat
大阪府大阪市北区大深町3番1号
グランフロント大阪
ナレッジキャピタル タワーC 7階

キーノートスピーチ:
シナジーマーケティング株式会社 谷井代表

スタートアップピッチ:
Waygo CEO Ryan Rogowski (予定)

申し込み(無料):
http://fi.co/courses/11151
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グーグル、フェイスブックが日本で生まれないもう1つの理由

日経ビジネスにちょっと興味深い記事が出ていたので、今回はこれについて書いてみたいと思います。

日本のITエンジニアの地位はなぜ低いのか ー グーグル、フェイスブックが日本で生まれないもう1つの理由

日本、というかシリコンバレー以外のエリアで IT エンジニアの地位が低い理由として、システムインテグレーターという下請けに徹した業種の存在や、IT エンジニアを採用する側の会社が、実際のエンジニアリングスキルではなく、いわゆる「口のうまい人」を採用してしまっていることなどが挙げられていますが、自分の個人的な見方では、採用される側の IT エンジニアも採用する側の会社もまだまだ改善が必要ではないかと思っています。

ずいぶん前の話になりますが、海外の IT ベンチャー企業の採用基準に興味があり、実際に IT エンジニアとして試験を受けてみたことがあります。1つはドイツ・ベルリンに拠点を置く音楽ソフトメーカー Ableton、もう1つはアメリカ・サンフランシスコに拠点を置く写真共有サービスの Instagram です。

両方とも試験は全て英語。これは当たり前ですね。面白かったのは、両社とも実際のプロダクトに直結した試験内容だったこと。

Ableton の方は、Django (Python) + SQLite で簡単なウェブアプリを開発して、そのソースコード一式にコメントを添えて提出(納品)しました。ウェブアプリは、同社のコミュニティサイトに関連したもので、ユーザー登録からトランザクショナルメール(ユーザーのアクションをトリガーにして送信されるメール)まで、実装すべき機能がかなり具体的に決められており、UI の素材も同社のウェブサイトから引っ張ってきて Photoshop で加工して、自分のウェブアプリに組み込んで使いました。

ちなみに MySQL ではなく SQLite にした理由は、ソースコードを受け取った人が環境構築の手間をかけずに即実行できるようにするためです。試験は無事パスすることはできましたが、まさか本当にドイツに行くわけにはいかないので、辞退させて頂きました。Ableton の人事の方、すいません。

Instagram の方は、確か Hacker News に募集記事が掲載されて、そっち系のハッカー達がこぞって応募した試験だったと記憶してます。シュレッダーで縦方向にバラバラにされた写真の断片を、プログラムによって元の写真に復元するというお題です。こちらも Python を使って一晩で書き上げて Instagram に提出(納品)しました。

ちなみに、この試験をクリアするには単純にプログラムが書けるだけの IT エンジニアでは、ちょいと敷居が高く、いわゆる画像認識・画像解析の知識と経験が必要になります。写真の「切り目」を何かしらのロジックで数値化して、断片のエッジ同士を比較するという計算式を作らねばならず、さらに難しいのが、復元された写真の最も左端と右端に置かれるべき断片の判定です。つまり、それ以上左側もしくは右側に断片が存在しない、という条件をプログラムで判断する必要があります。

Instagram の方は、さすがにシリコンバレーや世界中の IT エンジニアが一斉に応募したこともあってか、試験自体はパスしたものの too many applicants (応募者多数)とのことで、Instagram 側から sorry メールが来たことを覚えています。

もうお気づきかと思いますが、世界のイケてる IT ベンチャー企業と日本の普通の企業では、IT エンジニアの採用の仕方が全く異なるわけです。実際に試験を受けてみて感じたのが、採用される側の IT エンジニアも出されたお題の内容や技術レベルを見ることで、特定分野におけるその会社の競争力を一部垣間みることができる、ということです。

逆に言えば、ネットで検索すればすぐに答えが出てくるようなレベルのお題、もしくはコンプライアンスなどという建前のもと、実際の業務に関係なさそうな超一般的な内容のお題を出しているような会社では、本当にその分野で秀でたスキルを持つ IT エンジニアは、残念ながら集まらないのではないでしょうか。

IT エンジニアの方も、年俸や勤務地、世間一般から見た会社のイメージ、などという基準で会社を選ぶのではなく、自分のスキルや経験が最大限活かせる会社を「見抜く能力」を身につけない限り、何回転職して年俸がそれなりに上がったとしても、会社に対して不平不満を言い続ける残念な IT エンジニアから脱却できないでしょう。ミスマッチが起きているのは、採用された IT エンジニアにも原因があると思うわけです。

「日本のITエンジニアの地位はなぜ低いのか」という問いに対する回答は、個人的にはもう1つあるのですが、それは IT エンジニアの起業意識の低さです。日本の IT エンジニアには、基本的に会社に採用される(=会社に使われる)前提で物事を考える人が多く、そこまで会社に対して文句を言うなら、理想郷となる会社をなぜ自分で作らないのか、と思ってしまうわけです。

Facebook, Google, その他の IT ベンチャー企業に優秀なエンジニアが集まるのは、これらの企業が “Companies built by engineers for engineers.” (エンジニアによってエンジニアのために作られた会社)であるからです。

この問題をより大きなスケールで解決するために、シリコンバレー発の起業家育成プログラムであるファウンダー・インスティテュートを京都・関西に持ち込むという取り組みを去年からやらせて頂いています。このプログラムにエンジニアの方が参加すれば、顧客開拓・収益モデル構築・法務・知財・資金調達など、いわゆるスタートアップを立ち上げて運営するノウハウを体系的に学ぶことができるため、エンジニアの理想郷を作るために「起業する」という選択肢を高い確率で成功させることが可能になります。

Founder Institute については、まもなく正式アナウンスができる予定ですので、また追ってこのブログで趣旨や意図を説明したいと思っています。

それでもシリコンバレーを目指すわけ

ソチオリンピックが近づいているということで、テレビで出場選手の紹介やインタビュー映像をよく見かける今日ころ頃。

そん中、こんなコメントをスノーボードの竹内智香さんが言っていたので、今回はこれについて書いてみたいと思います。

「スイスから五輪に出場していた頃は、(日本のファンのひとたちが)心のどこかで自分の失敗を願っているように感じられることがあった。」

「五輪で本当に勝ちたいなら、応援してくれる周りの人たちに協力してもらうことが大切だ。」

日本での恵まれない環境に嫌気がさして、スノーボード大国のスイスに移住したという竹内さんですが、5年に渡る現地での生活にも関わらず、2010年のバンクーバー五輪は残念ながら13位。なかなか結果が伴わない日々が続いていたようです。

そんな竹内さんが日本に帰国したのが2012年。スイスの恵まれた環境とはうって変わって、日本ではゲレンデでのトレーニング回数もかなり減ったそうですが、日本人としてサポートしてくれる周囲からの熱意と協力が全然違うようで、今回のソチでは万全の体制で出場できるとコメントされていました。

この話を聞いた瞬間、シリコンバレーを目指す日本の起業家のことが頭をよぎりました。

自分はシリコンバレーを目指すこと自体は全く悪いことではないと思ってます。向こうで活躍されている起業家の方々もたくさん知ってますし、今でも彼らを応援・支援させて頂いています。西海岸で IT を学んだ者として、アメリカとシリコンバレーの優位性は身をもって十分に理解しているつもりです。

ただし、どうしてもいまだに1つだけひっかかるのが、結局のところ、なんぼアメリカで会社を登記して、シリコンバレーで成功したところで、豊かになるのはアメリカであって、現地で雇用された社員であって、YC や 500 や現地の VC である点です。つまり、シリコンバレーを目指したところで、自分の両親・兄弟・親戚・地元の友達の暮らしは「全く変わらない」という点です。

当然、これには異論・反論があると思います。

例えば、シリコンバレー屈指の VC である DCM で10年活躍された伊佐山元さんなどは、シリコンバレーでの経験をもって日本に帰国され、現在では WiL という300億円規模のファンドを扱う VC を立ち上げられています。伊佐山さんのように、最前線のノウハウと経験を持ち帰って、日本を元気にしたいと活動されている方がいるのも事実です。

しかし一方で、シリコンバレーを安易に目指す起業家が未だに多いのも事実です。国内のインキュベータ&アクセラレータが若い起業家をはやし立てて、シリコンバレーに半ば無理矢理送り込んだ一昔前の時期よりは、起業家の意識も今はだいぶ変わっていますが、それでもやはり資金調達や人材確保の面で、日本よりもシリコンバレーを起業の地として希望する起業家は多いです。これは日本に限った話ではありません。

地方で創業したスタートアップがある程度のステージに達すると、あっという間に東京へ本社移転してしまう現在の日本のスタートアップシーンにも同じことが言えるかと思います。要するに、効率重視の考え方です。スタートアップの生存率と成長速度を上げるという点においては、東京への移転は正しい選択かもしれませんが、どうもその先にある日本の姿に明るいものを見出せません。

シリコンバレーに渡って成功した日本のスタートアップがあるとすれば、ほとんどの日本人からは応援・賞賛されるでしょう。スノーボードの竹内さんのように別の国からオリンピックに出場したことで「心のどこかで自分の失敗を願っているように感じられる」と思うことは、少なくとも IT 業界においてはないと思います。

日の丸を背負って、メダルをとったら君が代が流れるオリンピックと違い、スタートアップはあくまで資本主義に則った会社組織の話なので、同じ物差しで計ることはできないかもしれません。さらに、スタートアップも大企業も今ではグローバル化は当たり前の話で、そもそも企業の物理的場所や国籍などを気にする必要があるのは、法律と税務面だけの話になりつつあるのも一部正論です。

しかし、同じ夢を実現するなら、やはり自分が生まれた土地や場所にこだわりを持って、自分を育ててくれた人達やコミュニティから支援・応援されながらやった方が、背負い込む責任は増えるかもしれませんが、その方が人間甲斐があるのではないでしょうか。

それでもシリコンバレーを目指す理由、それでも東京を目指す理由について、そろそろここら辺で一度立ち返って、長期的な視点で考える起業家やスタートアップが多く出てきて欲しいと思いつつ。