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なぜあなたの給料は上がらないのか:ベンチャー編

そろそろ年末が近づいて、来年仕事どうしようかな、転職しようかなと考え始めてる人、多いんじゃないでしょうか。Facebookでも「○○を退職して、○○に転職しました!」みたいな投稿を最近よく見かけます。

自分がベンチャー界隈で生きているせいかどうかは知らんけど、今年のトレンドは、長年勤め上げた会社からベンチャーに飛び込む人が、なんとなく多い印象です。ええことです。

ベンチャー経営者という職業柄、年中企業に営業で訪問して、色々な肩書・年齢の方にお会いさせてもらってますが、中には、けっこう尖った人もいます。自分は営業先・取引先の人であっても、「あぁ、この人良さそう、うちに来てくれへんかな」という目で相手を見てます。たぶん、他のベンチャー経営者も、そういう目で見てる人、多いんとちゃうかな。

普段からそういう目で人に接しているせいか、この人やったら年俸2,000万円払っても構わへん、みたいな人物にごくまれに会うことがあります。(ちなみに、自分のサラリーマン時代の年俸の最高額が2,000万円だったことは、このブログで公開済み。)

で、最近よく思うことがあります。例えば、同じ30歳中堅クラスの人物でも、なぜこの人の給料は低いままで、あの人には2,000万円払っても良い、と自分が思うんやろうと。その違いは、どこから来るんやと。

大企業、外資系、ベンチャーでそれぞれ給料が上がるロジックが異なるので一概に言えへんですが、今回は自分にとって一番身近なベンチャーの世界で、「なぜあたなの給料は上がらないのか」について書いてみます。

 

まず最初にベンチャーにとって、一番ありがたい人物とは、どういう人物かという話

テクノロジー重視のベンチャーであれば、業界で有名なトップクラスのエンジニアや研究者を迎え入れることが、将来の人材リクルーティングはもちろん、会社自体の成功是非を決めることがあります。AI、バイオ・ライフサイエンス分野なんかは、このパターン。ウェブやスマホを使ったコンシューマー向けサービスであれば、それこそ、いま流行りの芸能人(セレブリティ)株主を迎え入れるのも、戦略的に重要だったりします。

ただし、一部の特殊な事情を除いて、一般的なシード期のベンチャーにおいては、誰がなんと言おうと「売上に貢献できる人物」が圧倒的に重宝され、かつ存在価値が高いです。

売上に貢献できる人物というのは、単純に営業スキルが高い人ということではなく、売上に直結しそうな人脈を持つ人、結果を出せる営業チームを作れる人、日本ではなく海外で稼ぐ力を持っている人、という解釈の場合もあります。

よくうちの会社でも「こんなに作る人ばっかり増やして、売る人どうすんの?」と、あえて自嘲気味に言ったりします。

自分がエンジニア出身で、かつIT業界で長年ベンチャーをやってきたからこそ言えるジョークなんやけど、往々にしてIT系ベンチャーでは売上を立てるための組織を構築する前に、なぜか案件や顧客が勝手に舞い込むと仮定して、それをさばく人(エンジニア)を増やすことばかりに注力しがちです。

今まで「いやー、うちの会社、さばく人が足りなくて潰れっちゃたんだよね」というベンチャー経営者には、1度たりとも会ったことないです。ベンチャーは資金ショートが原因で潰れます。つまり、売上が立たないことが直接の原因。

ひるがえって、一番ありがたくない人物とは、どういう人物か。ここからは箇条書きで。

 

1、誰かが取ってきた仕事をこなすだけの人

「え、何がアカンの?」「それって、私のこと?」と思った人。ようこそ、おいでやす。

ベンチャーでは、1人が何役も同時にこなすことが日常的に求められます。普段はカスタマーサポートをやっているけど、プレスリリースを出す時に限っては広報担当をやる。社長が面接に出れない時は、人事担当として1次面接を代わりにやる。他の人のスケジュール調整もするし、来客時にはお茶も出す。で、またカスタマサポートの作業に戻る。1日で3役から4役を並行して進める。こんなん、ベンチャーでは当たり前。

一方で、ベンチャー経営者の立場から見ると、これらの行為は、本来は専任の担当者を雇うべき作業をみんなで分担してこなしてくれている、と認めつつも、新規の案件や顧客を獲得にはつながっていない、と考えられます。要するに会社にとっては、コストのままです。

なので、1日の作業のなかで少しでも、新規の案件や顧客の獲得につながる行為をやれば、経営者としては、その人の給料を上げる口実になるわけです。

具体的には、自分の得意な分野、知識を持っている業界で、アタックリスト(見込み顧客のリスト)を作る。社長や営業担当が訪問したところにフォローのメールや電話を代わりに入れる。これはと思った案件は、誰に言われるでもなく提案書・企画書を作る。などの行為です。

自分の経験上、その分野の専門的な知識を持っていながら、ずっと給料が上がらない人の特徴は、まさにこれです。自分が会社にとってコストのままであることに気づいていない。新規の案件や顧客を獲得してくれば、だれも給料アップには文句を言わんです。

もう1回言いますが、これはあくまでベンチャーの場合。大企業や外資系では、専門的な知識を伸ばすことで、それなりの給料アップがされる場合もあります。

 

2、英語がしゃべれない人

これは業種や経営者の価値観によるところが多いと思うけど、自分が2,000万円払っても来て欲しいと思う人物は、間違いなく全員英語が話せます。いや、正確には自身のキャリアップの中で英語は必須であると、人生のどこかのタイミングで判断して、自らをグローバルな環境に強制的に身を置いたことがある人、と言い換えた方がええでしょうか。

今の時代、英語が話せることはプラスではなく、ビジネスマンとしての最低必須条件。英語が話せない人は、今後ますます人口減少が進んでいく、この日本という国でしか経済活動ができない人なんですね。

言い方は悪いかもしれへんけど、タイタニック号(日本)に乗っていて、船が沈んでいく(人口減少)と分かっていながら、海で泳げない(英語が話せない)という状態。この後、この人に何が起きるかは映画の中身と一緒です。

この問題の解決策として、英会話教室に通うとか、レアジョブを使ってみるとかも、まぁあるんでしょうけど、強制的に仕事で使う環境に身を置かなければ、ハッキリ言って意味あらしまへん。

自分が、MBA持っている人をあまり好きじゃない理由も同じです。クチは達者なんやけど、発せられる言葉に実体験が伴ってないというか、リアリティが全く感じられない。こんだけ、テクノロジーによって急変している昨今のビジネスシーンで、過去の成功・失敗のケースを学ぶことに何の意味があるんやと、今でも思ってます。

英語も同じ。勉強してると言いながらも、普段の自分の業務は日本語だけでこなす。そんなもん全く意味あらしまへん。下手でもええ、とにかく英語や海外がからむ仕事は自分が一番先に手を上げて、やる。しかも、新規の案件や顧客の獲得につながるのであれば、ダブルで給料アップです。

 

3、ロボットやAIで置換できてしまう仕事をやっている人

これに自分が該当するかどうかを判断するには、いまやっている仕事が本当に自分でないと出来ない仕事であるかどうかを考えるのが、一番手っ取り早いと思います。

例えば、薬剤師という仕事。処方箋というインプットに対して、お薬というアウトプットを出す。一連のプロセスには、個性とかクリエイティビティが関与してはならず、誰がやってもインプットとアウトプットは同じであるべき仕事の代表格。しかも、ヒューマンエラーによる損失が多いのも特徴。こういう仕事は、かなり近い将来にロボットとAIによって置換されます。

一方で弁護士という仕事。リーガルテックが今後進歩すると言われつつも、クライアントはやはり「あの人にお願いしたい」と属人的な部分を評価して仕事を依頼してくるのは、これからも変わらんと思います。なぜなら、個々人の弁護士によってインプットとアウトプットが大きく異るからです。

プログラマという仕事。仕様書通りにコードを書く人は、これから価値がどんどん下がります。クラウドIDE(ブラウザ上でコードを書く環境)が普及するにつれて、もしくはGithubなどのレポジトリ(コードを保管しておく場所)にAIが導入されるに従って、ある程度のロジックを決めた段階でAIが「それって、こういうコードでいかがでしょうか?」と提案してくる。プログラマの仕事は提案されたコードの中から選ぶだけ。もしくは微調整の作業のみ。

一方で、英語はもちろん数カ国語が話せて技術も経営も分かる人物。マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ、グーグルCEOのスンダル・ピチャイ(共にインド出身)の年俸が数十億円なのは、なぜでしょう。それは、彼らの仕事がロボットやAI、他の人では絶対に置換できないからです。

ベンチャーは、経営リソースの制限があるため、とにかく人件費を下げるためのインセンティブは大企業や外資系よりも、よっぽど強いです。ちょっと前までなら人がやっていた書類選考をHRTechのAIに任せる、ビルの管理会社からパートタイムの清掃員を2週間に1回オフィスに派遣してもらっていたところを代わりにロボット掃除機のルンバで済ませる、定型的な作業はクラウドソーシングを使ってシステム的にマッチングされた最適な人に手早く外注する、これ全部、いまうちの会社で起きていることです。

自分と同じ専門知識を持つ他人が明日オフィスにやってきたとして、それでもあなたの仕事は残りますか?近い将来、それは「人」ではなく、ロボットやAIである可能性が、とても、とても高いです。

 

以上です。

これら3つのどれかに該当する人は、残念ながら将来給料が上る見込みは低いです。少なくとも、急成長するベンチャーにおいては、確実に周りから置いていかれるタイプの人になってしまいます。そうならないためには、今のキャリアの延長線上に将来のキャリアを考えることでななく、自分の職種を全く変えるくらいのスキルの入れ替え、もしくは大幅な強化が必要やと、考えます。

2,000万円出せるかどうかは個別相談やけど、我こそはと思う人は、ぜひうちの会社の門を叩いてみてください。

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