お金に色はないは本当か

今週、ハカルスとして初回のVCファイナンスを実施しました。

諸々落ち着いてきたので、ここらで今回の資金調達について簡単に書き残しておきたいと思います。

まず、今回の資金調達で1つだけこだわったことがあります。それは「オール関西マネーでもここまで出来るんだぞ」という事例を後続の起業家に対して残すことです。これには最後の最後までこだわり抜きました。

自分の周りの起業家でも、エンジェル投資を終えて、いよいよシード投資(VCファイナンス)の時期が近づくと、ほぼ全員が東京を目指して「参勤交代」の状態に入ります。

知識や経験が少ない学生ベンチャーなんかは、シード投資を東京のVCから受けると、だいたい同じタイミングで拠点も東京に移します。ややもすると、普通に地方の大学を卒業して大手企業に就職するために東京に上京するのと、なんら変わらないようにも見えます。

今回、ハカルスでのシード資金調達を実施するにあたり、幸いにも東京や海外のVCからも声掛けを頂きましたが、最終的には創業者である自分のこだわりを貫いて、関西を拠点とするVCだけでクローズしました。

ブログのタイトルにもなっている、お金に色はない、というフレーズですが、関西のVCであっても、彼らのLP(ファンド出資者)は関西拠点ではないことの方が多いため、そういう意味では、お金に色はない、は正しいと思います。

ただし、自分としては自社が活動しているエリアのVCから評価を得られないベンチャーというのは、いかがなものかという考え方があって、普段から自分や自社の活動を近くで見てもらっているVCからこそ、真っ先に賛同を頂くべきではないかと思ったりしています。

京都に住み始めて、それなりの時間が経っているせいか、自分の考え方がちょっと古くさいというか、京都人的なロジックになっていることも影響しているかもですが。

自分の近くの起業家仲間でも「地方には自社の事業価値を分かってくれる投資家やVCが全くいない」とか、「地方でのファンドレイズは時間の無駄、東京でやる方が圧倒的に速い」と言ってのける人がいますが、そうなると、思わず “Why are you here?” (じゃあ、なんでここにおるん?)と質問したくなってしまいます。

お金に色はない、という表現をそのまま解釈して、本社機能は地方で、お金集めは東京で、もしくはシリコンバレーで、という割り切った考え方もあるかと思います。いわゆる効率重視の経営スタイルですね。

一方で、IT化が進んで物理的にも心理的にも世界中のどこでも仕事ができるようになった現代こそ、実は「どこでやるか、だれとやるか」がますます重要な意味を持つようになってきていると自分は考えます。

自分が尊敬するキャピタリストの一人にアメリカのコロラド州Boulderを拠点に活動するBrad Feldがいますが、彼の書籍やブログでも、同じような価値観がよく見え隠れします。

要するに、Boulderのようなド田舎にわざわざ来ているのに、Bay AreaのVCに対して熱心にピッチするのはアホだと。それこそ、Why are you here? となるわけです。

どこでやるか、だれとやるか、を優先するために地方に来ているのに、結果的に「お金」のために地方を離れて東京やBay Areaに移住するのは、初心を忘れてしまっているのではないか、という話です。

ちなみに、地方でのファイナンスに限界があるのは事実です。現在の日本では、シリーズA以降のラウンドをリード投資家として、高い付加価値をもって仕切れるVCは地方には相当少ないと思います。

なので、ハカルスも今後は積極的に東京や海外の資本を取り込んでいくことになるかと思います。

ただし、繰り返しになりますが、初期の企業カルチャーが形成される大切なシード時期において、お金のためだけに創業の地を離れるというのは、将来の企業カルチャーに多大な影響を及ぼします。

逆に言えば、一番苦しいシード時期を地方で乗り切ることができれば、「どこでやるか、だれとやるか」という初心を忘れることなく、それを受け継いだ企業カルチャーも将来にわたって健全に形成されていくのではないでしょうか。

最後に、今回のラウンドをリード投資家として仕切って頂いた、Miyako Capitalの岡橋さんには多大なる努力をして頂きました。彼なくしては、オール関西マネーのスキームも実現していませんでした。

これからも、ユニークなアカデミア知財や日本が世界に誇る京都の食文化を最大限に活用しながら、地方ならではの戦い方を実践していきたいと思います。応援、よろしくお願いします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加