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タニタはこうして世界一になった

タニタはこうして世界一になった」読了。ハカルスと同じ「健康をはかる」をテーマに掲げている企業としてタニタは大先輩であり、ぜひ読みたかった一冊。

今でこそ健康機器メーカーの代名詞のような存在のタニタも、少し前までは健康を害するタバコのライターを製造していたのは実はあまり知られていないです。

あの有名なタニタ食堂も、自社で立ち上げた健康管理施設(ベストウェイトセンター)の赤字が続いたため閉鎖することになり、同施設に配置した多数の管理栄養士・健康運動指導士・医師を自社の食堂に仕方なく「配置換え」して、社員向けに食事を通じた健康管理サービスを提供したじめたのがきっかけ。

タニタの売れ筋ナンバーワンの製品であるデジタル体組成計ですら、アナログ体重計が利益の大半を稼いでいたことから社員から猛反発を受け、当時社長だった谷田大輔氏が15年もの時間をかけて社員を説得した結果、やっと出来上がったものと本書に記されています。

このような生い立ちをみると、やはりタニタでさえベンチャー企業の生き様そのもので、あらゆることを実際にやってみて仮説検証を繰り返す中で、今の事業の形態に落ち着いたのだと分かります。

ひるがえって、現代のスタートアップはどうかと見ると、ネットに情報が溢れかえっているせいか、スタートアップで働いている社員ですら「あ、それうまくいかないと思いますよ」と、しれっと言ってのける人が稀にいたりします。

うまくいかないと思う理由を聞いてみると、過去に〇〇という会社がトライしてダメだったからだとか、それまで働いていた会社での自身の経験をあれこれ持ち出してダメだと言う。とにかく、うまくいかない理由に関する情報量が異様に多い。

本やネットで得た知識だけでものを語る人のことを英語で book smart と呼びますが、なんだか最近はスタートアップの中の人でさえ、book smartな人が増えている気がするのは自分だけでしょうか。

もしろん、何も考えずにただ行動に移すのはアホ以外のなにものでもなく、経営者である自分の周りをイエスマンだけで固めるのもNG。

自分と異なる価値観や意見を持つ人に耳を傾けるのは大切ですが、やる前から「それ意味ないっす」という雰囲気はいかがなものかと思う。どうしてスタートアップで働いているのか、思わず聞きたくなってしまう人も中にはいたりします。

自分の会社にはそういう人はいてほしくないし、そういった企業カルチャーにならないように常日頃から情報発信して、あるべきマインドセットはメンバー全員に伝えています。

自分は、スタートアップにおいては全ての決定事項は仮説であって、市場で検証されない限りは何も正しくなく、かつ間違いでもない、と考えています。

この前提に立つと、うまく行く or 行かないを社内で延々と議論するのは、ただの時間の浪費であって、そんなことに時間を使うくらいだったら、ある程度の方向性とやり方が見えた段階で、さっさと実行に移したほうが良いという考え方に自然となります。

いわゆるシリコンバレーで言うところの “fail fast, fail often.” (できるだけ早くに失敗しろ、そして何回も失敗しろ)の考え方に近いかもしれません。

実際ハカルスでも設立からの2年間で、色々なものを作っては出して、そこから学んで方向修正をするというサイクルをもう相当回数やってます。このサイクルを norm (通常状態) であると受け止められる人でないと、本来スタートアップでは働けないのではないでしょうか。

うまくいかない理由を述べるのはOKですが、それ以上に「だけど、こうすればうまくいく可能性があります」といった意見が自然と出てくるような企業カルチャーがベストですね。

本書の後半では、まさにこういった肯定的な自己否定の企業カルチャーをいかにして作り出すかについても書かれています。

もし、社内に book smart な人がいれば、本書をそっと差し出してみてはどうでしょうか。

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