future

ハードウェアスタートアップの未来:トレンド編

Image by nolnet on Flickr

最近は Dragon Innovation のブログ記事をほぼ全て日本語に翻訳している感じですが、今回も同社の最新記事 The Future of Hardware – Part 2: The Trends の意訳という形で書きたいと思います。

[原文へ]

ハードウェアとその製造方法が進化し続けるに従って、未来を形作るであろう幾つかの重要な変化が今起きつつあります。

さらなる抽象化

我々が2000年初期の頃に Roomba を作った時は、モーターを駆動させるために自前のHブリッジ回路をプリント基板上に作る必要があった。(筆者注釈:Hブリッジ回路とはモーターの回転・逆回転の制御に使われる回路のこと。ロボット動作の基本部分を司る重要な回路。)そして、それらを動作させるために低レベルのコードを書く必要があった。この作業は設計・作成・組み立て・試験・デバッグに何週間もの時間を要した。

Roomba のHブリッジ回路とモターを再利用して作られたロボットの例

Roomba のHブリッジ回路とモーターを再利用して作られたロボットの例

現在では Tessel を使うことで、無線経由でモーターを回転させるのにたった数行のコードと5分の時間しかかからない。(筆者注釈:Tessel とは JavaScript と Node.js で制御可能なマイコン。C言語の習得が必要な通常のマイコンに比べてウェブエンジニアにとって扱いやすいのが特徴。)今ではこれら先人の知恵を多少借りることで、これまでになく素早くかつ安価に proof of concept に到達できるようになった。

これらの現状を踏まえた次のステップとしては、proof of concept で使用した同じチップセットとコードを使った量産体制への移行という未来が到来するだろう。電子部品とソフトウェアのモジュール化によって、試作品から量産品への移行をスムーズにするためのさらなる抽象化がもたらされるだろう。(機械工学関連は引き続き自前でやることになるが、量産品質の3Dプリンターによってこれも今後進化するだろう。)

サプライチェーンの複雑化

加速度センサー、無線関連、何かのデータを処理するもの、電池類などの「安易な」アイデアの製品は既にほとんど市場に出尽くしてしまっている。これから登場するであろうハードウェアスタートアップの第2波は、異なるサプライチェーンを組み合わせる形でイノベーションを起こすだろう。

BlueSmart が良い例だ。スーツケースとプリント基板を融合させたこの製品は1年前には想像すらできなかった類のものだ。こういった異なるサプライチェーンの組み合わせによって、ハードウェア製品の品質と多様性は今後さらに向上するだろう。

bluesmart

世界初の「通信可能な」スーツケース BlueSmart

製造における「死の谷」を越える

IoT・ハードウェア製品の大衆化とクラウドファンディングによる後押しによって、5,000〜1万個という小規模な製造ボリュームに対する要求は今後ますます増えるだろう。こういった小規模な製造ボリュームは国内での生産に適しており、これまでのような顧客から遠く離れた場所にある工場とは競合する形で、世界規模の地産ムーブメントを引き起こすだろう。競争力を維持するためには、地産型の国内工場は柔軟なファクトリー・オートメーション(FA)を構築することで上昇し続ける人件費に対応する必要があるだろう。

工場選択の重要性

ハードウェアスタートアップは信頼できる工場を見つける必要がある。同様に、工場の方も自社の能力や成長に見合った顧客を見つける必要がある。効率的な製造ノウハウと工場ネットワークへのアクセスは、今後もコスト・品質・スケジュールを管理するうえでの競争優位性であり続けるだろう。

以上です。

量産品質の3Dプリンターの登場は、世界規模での地産地消ムーブメントを一気に引き起こすと自分も以前から考えています。量販店で買う製品と全く同じクオリティの製品を自分の家の卓上で3Dプリントできるようになった時、何か世の中で起きるか考えると今から本当にワクワクします。

Dragon Innovationの前回記事 The Future of Hardware – Part 1: The Tools and Technology もあわせてどうぞ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加