9721102971_9f788b450d_z

厚労省の先駆け審査指定制度について

Image by jepoirrier on Flickr

関係のない方には全く関係のない話ですが、個人的にはここ数年の政府の取り組みの中で最も画期的なものの1つだと思っているのが、今回取り上げる厚生労働省の「先駆け審査指定制度」です。

今年度からいよいよ運用開始されるこの制度ですが、何がそんなに画期的なのかざっくり一言でまとめると「有効な治療法が見つかっていない疾患で世界に先駆けて新しい医薬品・医療機器・再生医療製品を日本に投入する場合は、審査と承認にかかる時間を大幅に短縮します」という内容です。

制度の詳しい内容はこちらの概要書を見て頂ければと思いますが、この制度のキモの部分は通常12ヶ月かかる承認審査の期間が半分になるという表面上の分かりやすいメリットよりも、実はそれよりももっと大きなところにあります。それは、いわゆるフェーズ3(第III相試験)と呼ばれる臨床試験が終わる前段階でも「事前評価」という形で承認プロセスを開始できるという点です。

自分は創薬やバイオの専門家ではないので、そこまで制度に詳しいわけではないですが、それでも関係者の方々に話を聞くとこの制度によってフェーズ3で求められる「多数の患者による有効性・安全性の確認」という高いハードルを越えなくともある程度の申請手続きを始められるため、市場投入までのリードタイムが相当短縮されるだろうという意見をよく耳にします。

この制度によってようやく日本の創薬・バイオベンチャーをとりまく環境が改善されると言う方もいれば、これで日本は一気に世界の先頭に立とうとしていると言う方もいます。事実、iPS 細胞関係の某バイオベンチャーの代表の方も、先日あるイベントでこうコメントされていました。

「いま世界中のどこでも自由にバイオベンチャーを創業して良いと言われても、それでも自分は客観的に見て日本で起業するだろう。それだけ日本の環境は整いつつある。」

自分個人としてはハードウェア・IT の専門家として、IoT x 医療分野でのイノベーションに注目していて、こういった制度を活用することで日本から世界で戦えるユニークなベンチャーが生まれてくる可能性があるのではないかと思ってます。

自分が拠点としている京都・関西は、オムロンやアストラゼネカなど国内/外資系を問わずライフサイエンス・ヘルスケア関係の有名企業が多く存在していているうえに、iPS 細胞関連のバイオベンチャーが多数の研究開発拠点を置いているのも今更言う必要がありません。こういった地の利を活かすことで、シリコンバレーや中国深センとはまた違った点で差別化されたハードウェアx医療系スタートアップが作れるのではないか、というのが最近の持論です。

もちろん医薬品・医療機器の分野というのは、こういった制度があったとしても参入障壁がもともと高い分野ではありますが、同分野で実際にビジネスをしている経営者やモノを作っているエンジニアに直接話を聞ける機会が多い京都・関西は、やはり他の土地と比べて圧倒的に有利な気がしています。

ドイツなどは数年前から「インダストリー4.0」という名目で工業分野のデジタル 化・IoT化に国を挙げて全力で突き進んでいますが、もし同じことをここでやるなら「ライフサイエンス4.0」か「ヘルスケア4.0」といった感じででしょうか。国とスタートアップが同じ方向を向いた時に、どれだけの爆発力が生まれるのか考えると結構ワクワクします。

一昔前は、IT (ソフトウェア) と英語の知識があれば勝ち組と呼ばれていましたが、これからはこの2つに加えてハードウェアと医療の知識があれば、相当にユニークなポジションを築けるのかもしれません。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加