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起業家教育は大学では遅いのではないかという話

Image by mars_discovery_district on Flickr

最近はおかげさまで、あちこちの大学での講義や講演に呼んで頂く機会がだいぶ増えましたが、来期も京大での起業家教育プログラム「起業と事業創造」の講義を一部担当させて頂くことになりました。以下、現時点でのスケジュールです。京大生・留学生の方の参加、お待ちしています。

5月12日 Business Plan Basics 2(英語)
6月9日 Silicon Vally(英語)
7月2日 大学ベンチャーの動向(日本語)

大学での講義はいつも出来るだけダイナミックに分かりやすく、自分の体験や経験をふんだんに織り交ぜて授業っぽくならないよう心がけていますが、そんな中、つい先日16〜18歳の高校生を対象にしたビジネスプランコンテストへのお誘いを受けました。

以前のブログ記事で書いた通り、自分はプロダクトやサービスが見れないイベントへの審査員要請は「一切全て」お断りさせて頂いています。このスタンスは今後も変わらないと思います。

自分の周りで活躍されている VC やアクセラレーター関係者の中にも同じようなスタンスをとっている方は少なからずいますが、一方で例外を設けている方もいます。それは、18歳以下の小学生・中学生・高校生が参加するイベントです。普段、社会人・大学生向けのビジネスコンテストには一切参加されないような方でも、いざ相手が18歳以下となると1日中でも張り付いて熱心にコーチングされる方も中にはいます。

大学での起業家教育をお手伝いさせて頂いている立場からは、若干言いにくいところがあるのは事実ですが、大学での起業家教育の重要性は理解しつつも個人的には「起業家教育は大学では遅い」とも思っています。

日本では、かなりの割合の高校生がそのまま大学に進学するわけですが、みなさん、自分の進学先の大学を決めた時の動機を覚えていますでしょうか?

エンジニアになりたい人は工学・情報系、教育に関心がある人は教育系、世界を知りたいという人は留学という選択肢もあったかと思います。

自分の場合はアメリカ西海岸でコンピューター科学を学ぶという選択肢だったわけですが、いろいろな大学での講演でこれまで話してきた通り、当時の自分の動機は「ビバリーヒルズ青春白書」と「起業」でした。前者はティーンエイジ世代特有のカリフォルニア的カルチャーへの憧れ、後者は自分の人生で何を成し遂げたいのかという本気の決断によるものでした。

つまり、ほとんどの人は高校から大学に進学する時点で、おそらく初めて自分の人生について真剣に向き合うことになり、何かしら1つの方向性を決めるわけです。

この決断を下す時に「起業」という選択肢が入っていなければ、おそらく大学進学後の4年間、さらにはサラリーマンとして働き初めて自分の人生に若干の違和感を覚えるまでの3年間、合計7年間は「自分で独立してビジネスをやる」という選択肢に全く触れないままになります。この7年間というのはそれは大きな数字で、年齢で言えば19歳から26歳という人間の基礎を作る大事な期間を、ほぼ完全にスキップしてしまうことになります。

もちろん、大学の間に起業文化に触れて実際に起業する人もいますし、社会人経験を積んでから起業する人もいます。ぶっちゃけ、起業するタイミングについてはいつでも良いのですが、起業を意識しながら経験を積んでいく人生設計と、サラリーマン生活が嫌だからという現実逃避の行き当たりばったりで起業する人生設計では、その後の結果が大きく変わります。

自分が運営している起業家教育プログラムで先日あるインフォグラフィックを公開しましたが、実は起業に最も適している年齢は34歳というデータも出ています。なので、ビジネスマンとして15年くらいの経験を積んでから、もしくは1〜2社のスタートアップを成功・失敗させてからの方が起業の成功率が高いと言えるわけですが、それも全ては起業を最初から意識している人だからこそです。

ここに自分が18歳以下の小学生・中学生・高校生に対する起業家教育、もとい「起業という選択肢も人生にはあるんですよ」的な啓蒙活動の重要性を感じている理由があります。

ちなみに、自分が留学していた当時のアメリカでは、一部の小学校で仮想通過と仮想市場を使った株取引を授業で教えていたこころがありました。これはモロに起業ではありませんが、ビジネスの根幹である何かを取引して利益を得るというコンセプトを幼少期に覚えさせるという点では、非常に大切な取り組みだと思っています。

さらに言えば、この18歳以下の学生に対する標準5科目以外の教育は全くもってしてビジネスになると個人的に思っていて、そういう意味では小中高生に DNA 抽出キットの組み立て方や iPS 細胞を扱った授業を提供しているリバネスさんなんかは、非常に面白いスタートアップだと思うわけです。

ウェブやスマホを使ってEラーニングをやるスタートアップもいいですが、もっと違うアングルから教育全体の底上げをやってのけるようなスタートアップが今後たくさん出てくると、もともと教育水準が高い日本で教育ビジネスをやる意味とアドバンテージが出てくるのではないかと考えます。

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