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全てのIoTは5年後にレッドオーシャンになる

Image by Simon Cunningham on Flickr

今日はたまたまですが、IoT と医療機器の関係について複数の人から同じ意見を聞かされた日でした。

まずきっかけは、Dragon Innovation の最新ブログ記事から。今後これから確実に起きるであろう IoT と医療機器の「衝突」を踏まえて、医療機器特有の懸念事項をまとめた記事です。

今回はこの記事の内容がメインではないので、あえて日本語に翻訳しませんが、コンシューマー向けハードウェア製品で良しとしている “Go fast, fail early” (とにかく速く市場に投入して、早めに失敗して顧客からフィードバックを得る)の考え方は医療機器の開発においては問題になりうると真っ向から否定している点が、とても興味深いです。

今はまだ IoT という言葉自体が若干の新鮮味を持っていること、ソフトウェア業界の人がまだそれほどハードウェア業界に流れ込んできていないこと、量産試作や製造に関するノウハウがまだ広く知れ渡っていないことなどの理由から、IoT 製品をちゃんと開発して出荷できているスタートアップには一定のアドバンテージ(参入障壁)がある状態かと思います。

ところが「クラウド」のように、一時は流行り言葉として認知されたもののあらゆるサービスがクラウドに移行しきってしまった現在よろしく、もう何をクラウド化したところで新鮮味がほとんど無くなる日がやってくることも、同時に我々は知っています。

今さら「うちは○○をクラウド化しようとしているスタートアップです」ですといったところで、その市場にはすでに何社もの競合が存在していて自社に残された市場はほとんど残っていないうえに、競合と同じレベルに追いつくだけでもとんでもない時間と労力が必要になる、つまり「レッドーオーシャン」が現在のクラウド、もといウェブサービスやスマホアプリが直面している状況かと思います。

これと同じことが遅くとも5年、早ければ3年で IoT にも起きるのでないかと最近ひしひしと思うようになっています。要するに、普通のウェアラブルとか、一般消費者向けのハードウェア製品を作っている企業は、これからもの凄い勢いでレッドオーシャンの渦に飲み込まれていくのではないかという主張です。

あと数年もすれば、1台のPCとネットだけで独自の基板設計・部品選定・工場発注・性能試験などをアウトソーシングやウェブサービス経由で全て完結できてしまい、誰でも IoT を手軽に作れる時代になると思います。それこそ小学生がスマホアプリを作って簡単に世界中に公開するかのように、誰でもオリジナルの IoT 製品をたった数クリックで中国・深センで生産できる時代です。

なので、Dragon Innovation や一部の先見性のあるアクセラレーターは、すでにレッドオーシャンとなりそうな分野をあえて避ける形で、医療機器など IoT・ハードウェアの中でも特に参入障壁が高い分野に既にシフトしてきているようにすら見える今日この頃です。

逆に言えば、これから IoT に参入する起業家・スタートアップは、自分が作る製品の種類を相当慎重に吟味すべきで、せっかく製品を作っても2〜3年後には自分の周りが類似製品でいっぱい、価格はどんどん下落、かつ自社に差別化できる要因が全く残されていない、という状態に安易に陥るのではないかと思います。

液晶テレビ、スマートフォン、お掃除ロボットも、最初の頃はノウハウをもった一部のメーカーだけが作れていましたが、すでにこれらの製品は完全にコモディティ化しているので、あえてこの分野に今さら飛び込もうとする企業がいない現状と似ています。

これから IoT に参入する人は、いきなり医療機器は無理でも、その一歩手前のヘルスケア機器から始めてみるとか、エネルギー関連(発電・送電・蓄電)や農業関連といったアングルから IoT に参入すると数年後も割とちゃんと差別化できているのではないでしょうか。

さて、最後にお知らせです。

昨日京都で開催された IoTスタートアップオープンセミナーで、ある発表をさせて頂きました。下記はその際に使用した、たった1枚のスライドです。

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現時点では、このスライド以上に詳しいことは言えませんが、実はこのプロジェクト、いま振り返ると関係者と最初の打ち合わせをしたのが2014年の4月。今からほぼ1年前の事です。なので1年かけてようやく昨日の発表に至っています。

このプロジェクトにご協力頂いた京都市・京都試作ネット・大学・VC 関係者の方々にはお礼を申し上げると同時に、これからローンチに向けて引き続きご協力をお願いしますと、この場を借りて一言添えさせて頂きます。

当日イベントに参加された方は自分の口頭による説明を聞かれたかと思いますが、まとめると「ハードウェアの製造イロハを3ヶ月間かけて学ぶブートキャンプを京都で開催する」という内容です。ある種のハードウェアスタートアップ・アクセラレーターと呼んで頂いても良いと思います。

メンターが張り付いてあれやこれやとアドバイスするだけでなく、ちゃんとした教育カリキュラムが用意されるという点ではおそらく日本初で、世界で見てもまだまだ相当数が少ない種類のアクセラレーターになると自負しています。

来月に東京で第2弾の告知イベントを開催しますので、詳細はこれから追ってまた明らかになるかと思います。いわゆる普通の IoT・ハードウェアも良いですが、医療向けや農業向けなど特定の業界に特化したコースなんかも用意できると京都の強みがさらに活かせるのではないかと、個人的には勝手に今からワクワクしております。

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