Expansive Ventures

このVCのいったい何が「世界初」なのか?

一昨日にメディアで発表されましたが、米国の Expansive Ventures という VC が日本での投資活動を開始するという記事が出ました。

米エクスパンシブ・ベンチャーズ、日本のスタートアップ企業への投資を開始 – ITpro
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/14/120302108/

創設者の1人であるジョン・ソーバーグ氏いわく「我々は、世界初となる”ネットワークベース”のベンチャーキャピタルだ」とのこと。いったい何が「世界初」なのでしょうか。

Expansive Ventures のベースになっている組織は、記事にもある通りの世界最大規模の起業家育成プログラム「ファウンダー・インスティテュート(以下、FI)」です。

このブログの読者は FI については、よくご存知かと思いますが、ここで FI をベースにする同 VC の特徴(強み)について触れてみたいと思います。ちなみに、これらの特徴については日本のどのメディアもまだ触れていないので、このブログがおそらく初めてになるのではないかと思います。

以下、Expansive Ventures の特徴です。

  • 6大陸・78都市で運営する FI のグローバル・ネットワークを駆使した案件発掘能力
  • FI が持つ 3,100 人の CEO メンター、1,100社以上の卒業企業による referral と voting (紹介と評価)
  • 1件あたり $250K 〜 $2M (3,000万円 〜 2億4千万円)の投資額
  • 世界初となる完全に分散されたネットワーク型 VC

今回世界初と言っているのは、最後の「完全に分散されたネットワーク型 VC」という部分です。

通常、世界展開している VC は拠点とする国や都市にオフィスを開設して人を常駐させます。常駐人員は当然ながらその VC に雇われる形で、肩書きは Regional Manager だったり、Head of XXX Office だったりします。さらに、投資後に案件に携わるメンバーは本国と同じ EIR (Entrepreneur in Residence) や Venture Partner という肩書きだったりします。

Expansive Ventures がユニークなところは、これらのオフィスを一切持たずに、人を常駐させることもなく、いきなり世界最大規模の案件発掘ネットワークを築こうとしている点にあります。なぜそんなことが可能なのでしょうか?

いま自分は FI の日本(関西地区)の運営を任されていますが、Expansive Ventures はこういった世界各国に散らばっている自分のような FI 運営者をネットワーク上でつなぐ事で「仮想的に」巨大な VC を作ろというコンセプトのもと設計されています。

そもそも FI は、進出した各地域の起業家ネットワークに深く入り込んでおり、また運営者もそれぞれの地域のベンチャー・キャピタリストや成功した起業家であることが多いのが特徴です。また運営開始から5年が経過している FI は、経験豊富な CEO メンターを 3,000 人以上抱えており、卒業企業も今では 1,000 社を超える数になっています。

この数字は、おそらく世界中のどのアクセラレーターや VC が抱えているメンターや輩出企業よりも多く、事実上、世界ナンバーワンの数字です。Expansive Ventures は、FI が過去数年に渡って世界中に築いてきた起業家ネットワークの上に VC を構築することで、こうした独自の強みを出そうとしています。

では、Expansive Ventures の立ち上げは我々が住む日本、さらには関西のエコシステムにとってどういう意味があるのでしょうか?

まず一番明白なことは、シード期に投資する VC が1つ増えたということです。ただでさえ VC が少ない関西では、日本の国産 VC が参入するだけでも実は凄いニュースになりますが、こういったシリコンバレー拠点の世界規模の VC が関西地区をカバーすることの意味は、個人的にかなり大きいと思っています。

逆に関西の起業家の視点からすれば、関西に居ながらにしてシリコンバレーの VC にアクセスできることを意味し、Expansive Ventures を経由して米国や世界に一気に進出するきっかけを掴むことが可能になります。1社あたりの投資規模も3,000万円〜2億円程度までと、日本で言えばシリーズAクラスの金額までカバーします。単純に金額だけ見ても、メリットが大きいです。

次に FI 関西と連携していることです。Expansive Ventures の ウェブサイト では、投資先は FI 卒業企業だけに限定しないと明言していますが、FI の運営者やメンターが案件を推薦する以上、FI 卒業企業に高いプライオリティが置かれるのは当然のことです。従って、FI に参加して卒業することは、こういった VC へのアクセスを得る最大の近道ということになります。

この Expansive Ventures の存在を知らされたのは、今年の5月でしたが、いよいよそれが現実のものとなって、FI と Expansive Ventures の2つの組織が世の中に与えられるインパクトの大きさに正直かなり胸が躍っています。要するに久々のワクワク感というヤツです。

さて、ここまで Expansive Ventures の説明をしてきましたが、そのベースとなっている FI 関西についてお知らせがあります。

おかげさまで、第1期の成果に対して投資家・起業家の方々から大変な好評価を頂き、FI 卒業前にクローズドなプレゼン会を開いてほしいとの要望を多数頂戴しました。そこで、第2期では最終日の DEMO DAY の前に一部の投資家・起業家だけを対象にしたクローズド DEMO DAY を開催することを決定しました。場合によっては、このタイミングで Expansive Ventures を含む VC・エンジェルからの少額資金調達が可能になります。

このような世界規模のネットワークへの扉が開かれた起業家支援組織は、少なくとも関西においては今のところ FI 関西だけだと自負していますので、関西在住の起業家には、ぜひこのチャンスを利用して頂きたいです。

FI 関西では、第2期への参加を希望する起業家を現在受け付けています。申込みはここからオンラインで可能です。12月10日 と 12月18日 に説明会イベントを開催します。世界にチャレンジしたい起業家、待ってます!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加