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シリコンバレーのグローバル化はなぜ必要か

前回のブログで少し触れさせて頂いた、シリコンバレー発の起業家育成プログラムであるファウンダー・インスティテュートですが、昨日正式に関西でのテストローンチがアナウンスされました。

このアナウンスを踏まえて、なぜ自分がファウンダー・インスティテュートに興味を持ったのか、なぜこのようなプログラムが関西に必要なのか、今回はその辺りについて書いてみたいと思います。

ファウンダー・インスティテュート(以下 FI)は、2009 年に連続起業家の Adeo Ressi によって設立され、現在世界 55 都市・34 カ国で 1,000 社以上のスタートアップを生み出し、10,000 人もの新規雇用に貢献してきた圧倒的な実績を持つスタートアップアクセラレータです。

4ヶ月間のパートタイムのプログラムであるため、社会人の方も仕事を続けながら学べる、スタートアップ版 MBA ともいえる存在です。

特筆すべきは、FI の卒業生が立ち上げたスタートアップの 90% が現在も活動している点で、これは  FI がスタートアップに「死なない方法(=生き延びる方法)」をしっかりと教えていることに起因しています。

デモデーに向けたプロダクト開発・ピッチ練習・資金調達交渉にフォーカスを置いているアクセラレータが多いなか、この FI のポリシーは他とは明確に異なります。したがって、FI にはいわゆる卒業式にあたるデモデーは存在せず、投資家を集めて「さぁ、投資してください」的なお膳立ても FI は一切やりません。

FI の位置付けをより明確にするために、次の図を用意しました。

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まず最下層にあるのが、自分も毎回メンターを務めさせて頂いている週末起業イベントの Startup Weekend。これは、いわゆるコミュニティレベルの活動で、大学や企業が主催するピッチイベントなどもここに所属します。

その上が FI で、他と区別するため「アイデアステージ・インキュベータ」という呼び方をしています。つまり、みなさんが持っているビジネスアイデアを昇華させて、本物のビジネス(=会社)を作り出すこと「だけ」にフォーカスした組織です。

その上が、Y Combinator, 500 Startups, TechStars などのデモデーを設けているアクセラレータです。スタートアップに投資を受けさせることを主な目的としているため、ここではファンディング・プログラムという呼び方をしています。

最上層は Angel Investors という呼び方になっていますが、アクセラレータを出たスタートアップが次に進む所という意味でエンジェル投資家・VC の両方を指しています。ここに所属するのは AngelList, Gust, SecondMarket などのオンラインサービス、そして世の中に無数存在するベンチャーキャピタルです。

前置きが長くなりましたが、つまり何を明確にしたいかというと、FI は既存の組織のどれとも競合せずに、むしろスタートアップが成長の階段をスムーズに駆け上がるための橋渡し役的な位置を担っている、ということです。ここをまず理解することが、既存のプレーヤーとうまく付き合うための重要なポイントだと考えています。

さて、ここからが本題ですが、自分が FI に興味を持ち、昨年から立ち上げのお手伝いをさせて頂いた理由の1つが、FI がそのミッションに掲げる「100万人の新しい雇用につながる持続可能なスタートアップエコシステムを作ること」です。

残念ながら、関西には一目で分かるスタートアップエコシステムはまだ存在せず、起業を目指す人と既に起業した人がノウハウや経験の情報交換を行う場所や、起業した者同士が切磋琢磨しながらお互いのビジネスを成長させていけるような健全な競争環境がありません。

一方で、シリコンバレーにはすでに50年余りのスタートアップエコシステムの歴史があり、成功した起業家がメンター&投資家として次の世代の起業家を育成し、育成を受けた起業家が成功して、さらに次の世代の起業家を育成するというポジティブなスパイラルがずっと起きていることが、あの土地を世界の中で特異な場所にしています。

FI がミッションに掲げる「シリコンバレーのグローバル化」とはまさにこれを指していて、彼らがやろうとしているのは単純に儲かる会社を効率良く作る方法をフランチャイズで増やしているのではなく、シリコンバレーの持続可能なスタートアップエコシステムを世界に広めようとしているわけです。自分は、この部分の考え方に納得して、強く惹かれました。

では、FI のような既に確立された成功モデルをシリコンバレーから輸入して、関西で展開すれば起業家はたくさん生まれるのかというと、答えは「ノー」だと考えています。そもそも起業を目指して人が集まる場所は、今のところは東京であって、関西ではありません。では、関西ではどのようにすれば起業を志す人が増えるのでしょう。

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そのカギを握るのが、関西に存在する大手・中小零細企業、そして大学・専門学校などの教育機関だと考えています。

関西にはパナソニック・シャープなどの総合家電メーカー、村田製作所・堀場製作所などの半導体メーカー、任天堂・カプコンなどのゲームメーカー、OMRONなどのヘルスケアメーカーなど、モノ作りに長けた会社がたくさん存在しています。にも関わらず、先日のブログで書いた Nest (Google に32億ドルで買収) のような次世代のベンチャー企業や製品が、なぜ関西から生まれないのでしょう?

いま関西の企業は、その規模に関わらず苦戦を強いられているところが少なからずあります。理由は様々ですが、かなりの部分で共通して言えるのは、1)製品と市場のサイクルがとても短くなってきている。2)これまでのモノ作りの考え方の延長線で作った製品では消費者に受け入れられにくくなってきている。3)IT を始めとする様々な付加価値を見出し、それを積極的に取り入れて製品やサービスに反映する、新しい見方が出来る人材が社内に少なくなってきている。という3点だと考えています。

最初の2つのポイントは外部に起因するところも多々ありますが、自分は3つ目のポイントこそがあらゆる問題の根源で、これを FI のようなプログラムを活用することで解決できるのではないかと考えています。

最近は日経新聞でも、ほぼ数日に1回の頻度で社内ベンチャー制度、もしくは社内ベンチャー人材育成に関わる記事を目にするようになりましたが、一方でそれらの現場に携わっておられる方々の話を聞くと、会社の方針は理解されつつも、確立された仕組みやベストプラクティス(成功事例・最優良事例)がほとんど社内にないため、手探りの状態で進めているのが現状だそうです。

1,000 社以上の起業実績を持つ FI のようなプログラムは、こういった転換期を迎えている企業の社内ベンチャー人材(=社内起業家)の育成ニーズと、かなりうまく合致していると個人的には考えています。実際、大手コンサルティング会社が FI を活用しながら社内ベンチャー人材育成を効果的に行ったという事例も海外では次々に出てきています。

逆に企業側から見れば、社員の通常の業務には全く支障を及ぼさずに、たった4ヶ月で新規事業や新製品・新サービスの立ち上げに関わるノウハウをプロフェッショナルな集団から学べるというメリットは、アウトソーシングという観点からもそれなりに大きいのではないでしょうか。

FI で学べるカリキュラムについては こちらのページ、または下記の Slideshare 資料を見て頂ければ幸いです。

最後に、大学・専門学校などの教育機関ですが、これは言うまでもなく日本で屈指の教育機関を保有する関西ならではの強みです。今後、関西にある教育機関と積極的に連携することで、起業を志す学生さんの成功率をより高め、さらに起業という文化をさらに身近に感じてもらえるようなると考えています。

文章が長くなってきたので続きはまた別の機会に書きたいと思いますが、個人的には FI のような専門的なプログラムは、すでに起業しているスタートアップ関係者の方々にこそ、実は参加するメリットがあるとも考えています。

その理由は、ほとんどのスタートアップの失敗原因は、過去に他のスタートアップでも確実に起きていて、FI ではそれを回避すべき失敗パターンとして体系化して共有しているためです。普段のプロダクト開発を続けながら、たった4ヶ月間で 1,000 社のスタートアップの成功・失敗事例から抽出されたノウハウを学べるという点は、やはりメリットが大きいのではないでしょうか。

ここまで読んで頂いて、FI に興味を持って頂いた方、本当にありがとうございます。今回の FI 関西の立ち上げに伴い、初回の説明会イベントを下記の要領で開催させて頂きます。

将来起業を検討されている方、大手企業での社内ベンチャー人材育成を担当されている方、起業コースのある大学・専門学校関係者の方に、ぜひお越し頂ければ幸いです。

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イベント名:
ファウンダー・インスティテュート関西
初回説明会 Founder Institute 101

日時:
2月20日(木) 18:30~

場所:
Global Venture Habitat
大阪府大阪市北区大深町3番1号
グランフロント大阪
ナレッジキャピタル タワーC 7階

キーノートスピーチ:
シナジーマーケティング株式会社 谷井代表

スタートアップピッチ:
Waygo CEO Ryan Rogowski (予定)

申し込み(無料):
http://fi.co/courses/11151
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