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Udemy が Y Combinator に参加しなかった理由

オンライン教育プラットフォームを運営する Udemy。昨年末にトータル $16M の資金調達を達成し、200 万人もの生徒を抱え、毎月 800 以上ものコースが追加される、まさにオンライン教育の先駆者的存在。

そんな Udemy ですが、元々は普通のサラリーマンだったメンバーによって 2010 年に立ち上げられ、鵜用曲折しながら現在に至っています。その経緯がなかなか興味深いのシェアしたいと思います。

共同創業者の1人である Gagan Biyani は、Udemy を創業する前は SAT を学びたい人向けの動画教材をオンラインで販売するサイトを考えていたそうです。※SAT (大学進学適性試験):アメリカの大学入学時に必要とされる試験。

アイデアを思いついた時のメンバーは、自分(非エンジニア)+ビジネス担当+開発担当の3人。

アイデアを実際のビジネスの形にしようと、シリコンバレーのアクセラレータに申込んで受理されたものの、アクセラレータに参加する前夜になって、開発担当の共同創業者が「オレ、辞めるわ」と言い出し、唯一のエンジニア人材を失ったまま、参加することに。まぁ、ここまではよくある話です。

ビジネス担当×2人では何も作ることができず、最初の2ヶ月間は開発者を探すことだけに奔走。ビジネスを作るという状態ではなかったそうです。

そんな中、Gagan の唯一のパートナーであるもう1人の共同設立者が「オレ、辞めるわ」と言い出します。あっという間に自分一人になってしまいました。まぁ、これもよくある話です。

この時 Gagan のとった行動が、後に彼の人生を変えることになります。その行動とは、自分のスタートアップをあっさりと捨てて、他の人が作ったスタートアップに仲間として加わること、です。

「絶対に最後まであきらめるな。何回 pivot (方向転換) してでも自分のビジネスを作れ。」とか、「我々はキミたちという人に投資している。(なのでビジネスはなんでも良い。とにかくリターンを生んでくれ。)」などといったセリフを VC は言ってのけたりしますが、Gagan が居たアクセラレータでは、それを強要しませんでした。

Gagan は、アクセラレータに参加していた他の70人の起業家からそれぞれのアイデアを聞き出し、そのなかから Udemy の原型を見つけ、そのチームに join することを決めます。これが Udemy 誕生の瞬間です。要するに完璧に「他人のフンドシ」であります。

その後、Gagan と彼のチームはアクセラレータを卒業し、最初の資金調達となる $1M のシードラウンドを無事に終えることになります。

あるインタビューで Gagan はこう聞かれたそうです。「$1M も調達できるチームなのに、どうして Y Combinator や TechStars に入らなかったのか?」

この質問に対する Gagan の回答は次の通り。

Y Combinator や TechStars に入ろうにも、テクニカル共同創業者の数が足りなかった。(注:YC / TechStars は技術メンバーがいないチームは基本的に受け入れない。)

そして、なによりも Y Combinator や TechStars のようなプログラムに入るのは、当時の我々にはまだまだ早すぎたと思ったことが一番大きい。

こんな理由から、他のアクセラレータへの参加を選んだ Gagan ですが、むしろこの選択が良い結果につながったと後に付け加えています。

このアクセラレータに参加した時に1つだけ想定外だったことがある。それはこのアクセラレータが持つ起業家とメンターの強力なネットワークだ。

 

20〜30人のメンターの中には、Mint.com 創業者の Aaron Patzer、Docstoc 創業者の Jason Nazar、Udemy と同じオンライン教育分野で $7M の資金調達をすでにやってのけた Moonshoot 創業者の Jay Jamison がいて、受けられるメンターシップの量と質は Y Combinator や TechStars を遥かに超えていると感じた。

 

Y Combinator や TechStars にもメンターはいるが、プログラムにしっかりと組み込まれている人はごくわずかで、他の人は結局のところ良い投資先を探しにきているだけ。

 

今の仕事を辞めずに、働きながら参加できる点も、このアクセラレータの最大のメリットの1つだと思う。(注:Y Combinator や TechStars はプログラムの期間中はアメリカに移住して、100% 自分のスタートアップにフォーカスすることが求められる。)

Gagan が普段の仕事を続けながら参加し、Udemy の原型と出会い、プロダクトを完成させ、投資家とのネットワークを構築し、$1M の資金調達を行う方法を学んだ場所、それがファウンダー・インスティテュートだったという話です。

もうお分かりですね?

起業経験もなく、ビジネスのアイデアはあるが、それをどうやって実際にお金を産む仕組みにするのか分からない。熱意はある。かといって、いますぐに仕事を辞めるわけにもいかない。

そういった状況にあった Gagan にとって、ファウンダー・インスティテュートは最適な選択だったわけです。

結果的に Gagan と彼のチームが作った Udemy は、Y Combinator に参加した類似スタートアップを押しのけて、今では $16M の出資、200 万人のユーザを持つスタートアップにまでに成長しています。サラリーマンをやりながら立ち上げたスタートアップであるにも関わらず、です。

リスクを嫌うのは日本人だけではなく、それはアメリカ人、ましてやシリコンバレーで生まれ育った Gagan のような人物(Gagan はカリフォルニア州フレモント出身)でも同じです。全員が全員、いますぐに仕事を辞めて、明日から自分のスタートアップに 100% コミットできる環境があるわけではないのです。

別のインタビューで、Gagan は絶対に単独で起業してはいけないと話しています。起業する際は、必ず何かしらのインキュベータ・アクセラレータに参加して、先人の失敗を学んで同じ過ちを繰り返さないこと、精神的なサポートをしてくれる他の起業家・メンターのネットワークの中に身を置くこと、PR の際に自分のことを知ってくれている人が 100 人以上いる状態を作ること、などを必須条件として述べています。

こういう事例を見ると、むしろ日本人の気質にあったアクセラレータはストイックな Y Combinator / 500 Startups / TechStars のようなタイプではなく、こういったアクセラレータなのではないかと思えてきます。

さて、シリコンバレー発のスタートアップ・アクセラレータ「ファウンダー・インスティテュート」ですが、関西でのローンチ準備を現在進めています。場所はグランフロント大阪、京都・神戸・奈良などの関西の他のエリアからのアクセスも良好です。

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